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ブランディングデザイン

資料の文字は、四か所だけ直す

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Nakamura Hiroki クリエイティブディレクター / 代表取締役
Nakamura Hiroki

クリエイティブディレクター / 代表取締役。ブランドマネージャー1級/インターナルブランディング認定コンサルタント/WEBデザイン技能士/WEBマーケティング検定/ネットショップ実務士。

資料の文字は、四か所だけ直す
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こんにちは、アプリコットデザインの中村です。今日は、資料が読みにくいときにどこを直すか、という話です。

先に言ってしまいます。読みにくさは、センスの問題ではありません。だいたい、文字の四か所で直ります。書体の数、大きさ、行間、字間。この四つです。

直そうとして、悪くなる

社内で作った資料、求人票、お店のメニュー。自分で作ってみて、なんか読みにくいな、と思うことがあります。

そこで、たいてい何をするか。文字を大きくします。それから、大事なところを太字にして、赤にして、下線を引く。やってみると、なぜかもっと読みにくくなる。お客様の資料でもよく見ます。直そうとした跡が、全部残っている状態です。

しかも、大きくすると一枚に収まらなくなるので、今度は小さくして詰め直す。すると行が変なところで折り返して、単語が真っ二つになる。ここまで来ると、だいたい三十分が溶けています。

原因のところを触っていないからだと思っています。読みにくさの正体は、文字が小さいことではなく、文字の並び方のほうにあります。

以前、配置の話をしました。近接、整列、反復、対比の四つです。今日はその続きで、文字だけの話をします。配置には触れません。

一つめ 書体の数は、二つまで

一つの資料に、明朝もゴシックも丸っこいのも入っていると、それだけで散らかって見えます。書いてある中身は同じなのに、揃っていない感じが出ます。

うちの資料は、二つだけです。日本語が游ゴシック、数字と英語がJost。この二つで全部作ります。表紙も、グラフも、細かい注釈も。だから迷いません。何を作るときも、書体を選ぶ時間がゼロになります。

なぜ二つなのか。日本語と、数字や英語は、生まれが違うからです。日本語の書体で数字を打つと、少し間延びして見える。だから日本語にひとつ、数字と英語にひとつ。役割で分けると、ちょうど二つになります。

三つ目を足したくなるのは、たいてい強調したいときです。ここだけ目立たせたい、と思って別の書体にする。でもそれは、次の大きさと行間で足ります。

二つめ 大きさは、十二を切らない

ここは、けっこう厳しめに決めています。

うちのWebの規定では、いちばん小さい文字で十二ピクセル。注釈でもキャプションでも、十一以下にはしません。本文は十六です。二列に組むなら十五、三列なら十四まで落としていい。列が増えると一行が短くなるので、少し小さくても読めます。

紙の資料なら、ワードの初期設定が十・五ポイント。あのあたりが下限だと思ってもらうといいと思います。

やりがちなのは、一枚に収めたくて九ポイントまで落とすことです。これは、収まったのではなく、読まれなくなっただけです。入らないときは、文字を小さくするのではなく、文を削るか、二枚に分けるほうがいいと思っています。

配る資料だと、ここがはっきり出ます。手元で読む人は、机に置いたまま、少し離れて見ます。近づかないと分からない大きさだと、その時点で読むのをやめられる。書いてある中身に届く前の話です。

三つめ 行間は、一・八倍から二倍

四つの中では、ここがいちばん変わります。

行間は、文字の大きさの一・八倍から二倍にしています。十六ピクセルの文字なら、行の高さは三十ピクセル前後です。

一・二倍や一・四倍だと、字がぎゅっと詰まって、文字の壁のように見えます。読む前に、うっとなる。あれです。

なぜ行間で変わるかというと、目が次の行の頭に戻れるからです。行が詰まっていると、読み終わった行の下に戻ってしまって、同じところを二回読む。一行ぶん空いていると、迷いません。

逆にいえば、行間を空けるだけで、文字の大きさを変えなくても急に読めるようになります。無料のテンプレートを使っていて読みにくいときは、だいたいここが詰まっています。テンプレートは英語で作られたものが多く、日本語を入れると詰まって見えることがあります。

四つめ 字間は、ゼロにしない

文字と文字のあいだを、少しだけ空けます。うちだと一文字の六パーセントくらい。Webの言葉では、レタースペーシングの〇・〇六です。見出しはもう少し広げて、〇・〇八から〇・二くらい。

やってもやらなくても分からないのでは、と思われるかもしれません。ただ、日本語は漢字とひらがなが混ざるので、詰めると息が詰まって見えます。ゼロのままだと、なんとなく硬い印象になります。

前と後で、四つ並べます

工務店さんの求人票。一枚に詰め込んで九ポイント、行間は初期設定のまま。これを、本文は十・五ポイントに戻して、行間を二倍にして、入りきらない分は「仕事の一日の流れ」だけ二枚目に送る。文章は一字も変えていません。それでも、読める紙になります。

カフェのメニュー。書体が三つ混ざっていて、値段だけ別の書体になっている。店名まわりの書体はそのまま残して、品名と値段はひとつに揃える。二つまで、です。

士業の方の提案書。太字と赤と下線が全部かかっているページ。強調が三種類あると、どれが大事か分からなくなるので、一種類に決めます。うちは色を足すのではなく、その部分を塗ります。

会社の社内資料。行間が詰まっていて読まれない資料は、行間を一・八倍にするだけで、そのまま配れるようになることが多いです。

四つとも、書いてある中身は一文字も変えていません。文字の扱いだけで、読まれるかどうかが変わる。ここが、デザインは論理だと言っているところです。

太字と色は、増やすほど弱くなる

強調は、増やすほど弱くなります。一枚の中で三か所が赤くて太いと、読む人はどれから見ればいいか分からない。全部同じ強さに見えます。

なので、強調は一種類だけに決めておくといいと思います。うちの資料は色を使わないと決めているので、ここを見てほしい、というところは塗っています。色を増やさなくても、目は塗ったところに行きます。

五分の手順

いま手元にある資料を、一枚だけ開いてください。作りかけでも、去年のものでもかまいません。

まず、使っている書体の種類を数えます。三つ以上あったら、ひとつ減らす。だいたい、ひとつ減らすだけで揃って見えます。

次に、本文の大きさを見ます。十一以下になっていたら、十二に上げる。紙なら十・五です。

そのあと、行間を一・八倍にします。ワードでもパワーポイントでも、行間の設定は一か所にあります。

最後に、字間を〇・〇六だけ空けます。ここは、設定が見つからなければ飛ばしてもらって大丈夫です。

これで五分くらいだと思います。文章は触りません。触らないほうが、文字だけで変わったことがはっきり分かります。

まとめ

読みにくい資料は、書体の数、大きさ、行間、字間の四か所で直ります。書体は二つまで、大きさは十二を切らない、行間は一・八から二倍、字間はゼロにしない。

太字と色を足すのは、直したことになっていません。増えた強調は、全部同じ強さに見えるからです。

もしよかったら、いま開いている資料の書体を、いくつ使っているか数えてみてください。数えるだけなら、十秒で終わります。

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