こんにちは、アプリコットデザインの中村です。今日は、入ってきた一件のお金が、どこへ消えていくかという話です。
会社は利益がないと続かない。当たり前すぎて、あまり口に出されないまま来ている話だと思っています。ただ、日々の仕事のなかで実際に見ているのは、たいてい売上のほうです。僕もずっとそうでした。
売上は通り過ぎていくお金
会社って何なんだろうと改めて考えると、僕は、利益が残っているあいだだけ続いていく場所だと思っています。集める場所というより、残す場所です。
入ってきたお金は、そのほとんどがまた出ていきます。残った分だけが来月の給料になり、来年の仕事の準備になります。売上がどれだけ大きくても、残らなければそこで終わります。
利益は、次にやれることの元手です。余ったお金という響きがありますが、実際は逆で、これが無いと次が始まりません。人を採るのも、機材を新しくするのも、新しい仕事を試してみるのも、全部この残ったお金からです。
だから利益が薄い会社は、続けることはできても、だんだん選べることが少なくなります。僕もお金が厳しかった時期は何度もありました。あのときいちばんつらかったのは、残高が減ること自体より、選べなくなっていくことでした。断りたい仕事を断れない。値段を下げてでも受けるしかない。人を増やしたいのに、その話を先に延ばす。
一万円を頭から順に引いてみる
ここからは、一件のお金が入ってきてから、いくら残るのかを順番にたどってみます。
たとえば美容室で、一万円のカラーをしたとします。まず、カラー材の材料費が出ていきます。仮にこれが千円だとすると、残りは九千円です。
この九千円のことを粗利と呼びます。売上から、その仕事のために直接かかったものを引いた残りです。会社が使えるお金は、この九千円から先です。
九千円から何を払うのか。店の家賃、電気代と水道代、予約システムの月々の利用料、シャンプーやタオルの補充、そして人の給料。全部この九千円の積み重ねから出ていきます。
仮に家賃が月三十万円だとすると、家賃を払うためだけにカラーが三十三人分いる計算になります。この時点で、給料も光熱費もまだ一円も払っていません。
デザインの仕事は原価が時間になる
僕らがやっているデザインの仕事も、形は同じです。こちらは原価にあたるものが時間になります。
たとえば百万円のホームページの仕事に、三人が二か月関わったとします。その三人の二か月分の人件費が、この百万円から出ていきます。打ち合わせの時間も、写真を撮る日も、修正のやり取りも、全部その中からです。
無形の仕事は、材料が目に見えない分、いくら残っているのかが見えにくい。だから時間を数えないと分かりません。
売上が増えれば利益も増えるとは限らない
僕は二十三歳で店を始めて、物を仕入れて売る商売を長くやっていました。売上が伸びると、当然ですが仕入れも増えます。人も増える。売る量が増えれば、袋も送料も決済の手数料も増えていきます。
月の売上は大きくなっていくのに、残っているお金は前とあまり変わらない。そういうことが実際に起こります。忙しさだけが増えていく感じです。数字は伸びているので、これはたちが悪いなと思っていました。
うちの話をすると、売上が一億円を超えた年に、残った利益が三十二万円だったことがあります。一億円のお金が一年かけて会社を通り過ぎていって、手元に残ったのが三十二万円です。数字が大きくなったことと、会社が強くなったことは、同じではありませんでした。
ちなみに、売上が大きくなると支払いのほうが先に来て、手元のお金が足りなくなることもあります。これはこれで大事な話なので、また別の機会に。今日は残るかどうかの話です。
値引きは、残るお金のほうで大きく減る
値引きをすれば売れます。売上も立ちます。ただ、値引きした分は、そのまま粗利から引かれます。
さっきのカラーで言うと、一万円を二割引きにしたら八千円です。材料費の千円は変わらないので、残るのは九千円から七千円になります。売上では二割の値引きが、残るお金のほうでは二割より大きく減ります。
値引きそのものが必要な場面はあると思います。悪いという話ではありません。ただ、どこがどれだけ減るのかを分かったうえでやるのと、そうでないのとでは、後から見える景色が違います。
直近三件で引き算をしてみてください
もし社内の数字を整理したいと思われたら、直近の三件で、入ってきた金額から外注費と、関わった人の時間を引いてみてください。それだけで、その仕事がいくらの仕事だったかが出ます。
僕らがご相談をいただくときも、最初に一緒に見るのはここです。何を足すかより、いま入ってきているお金がどこへ出ていっているかのほうが、話が早いことが多いので。
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