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WEB・WEBブランディング 2026.07.25

問い合わせフォームに届く営業メールと、どう向き合うか(ハニーポットとreCAPTCHAの話)

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Nakamura Hiroki クリエイティブディレクター / 代表取締役
Nakamura Hiroki

クリエイティブディレクター / 代表取締役。ブランドマネージャー1級/インターナルブランディング認定コンサルタント/WEBデザイン技能士/WEBマーケティング検定/ネットショップ実務士。

問い合わせフォームに届く営業メールと、どう向き合うか(ハニーポットとreCAPTCHAの話)

こんにちは、アプリコットデザインの中村です。

ホームページに問い合わせフォームを置くと、うれしい連絡と一緒に、そうでない連絡もやってきます。「格安でSEO対策します」「御社のサイトを海外向けに翻訳しませんか」といった営業メール。あるいは、明らかに人が書いたとは思えない、意味の通らない文章の送信。心当たりのある方は多いと思います。

僕たちはWeb制作でお客様のフォームを作る側なので、この相談をよく受けます。今日は、こうした送信がなぜ来るのか、そしてどう向き合っているかを、専門用語をなるべくかみくだいてお話しします。売り込みたいというより、僕たちが実際にやってみて効いたことを、そのまま分けておきたい、という気持ちで書いています。

本当に大事な問い合わせが、埋もれてしまう

営業メールや自動送信そのものより、僕が問題だと感じているのは「大事な連絡が埋もれる」ことです。一日に何十通も同じような営業が届くと、受信箱を開くのがだんだん億劫になります。すると、本当に届けたかったお客様からの一通を、見落としたり、返信が遅れたりする。フォームは会社の入口なのに、その入口が使いにくくなってしまうわけです。対応にかかる時間も、積み重なると案外ばかになりません。

なぜ、こういう送信が来るのか

まず知っておくと気が楽になるのは、その多くが「人」ではなく「プログラム」から来ている、ということです。インターネット上には、たくさんのサイトを自動でめぐって、問い合わせフォームを見つけては片っぱしから送信していく仕組みが動いています。よくボットと呼ばれるものです。ロボットの略で、決められた作業を自動でくり返すプログラムのことだと思ってください。

相手は一件ずつ手で入力しているわけではありません。だからこそ、こちら側も「一件ずつ手で弾く」のではなく、「機械的な送信を機械的に見分ける」工夫が要ります。ここで登場するのが、これからお話しする二つの考え方です。

ハニーポット:人には見えない「おとりの入力欄」

一つ目はハニーポットと呼ばれる方法です。ハニーポット(蜂蜜の壺)という名前のとおり、おとりを用意して引っかかってもらう、というイメージです。

やっていることはシンプルです。フォームの中に、人には見えない入力欄をこっそり一つ用意しておきます。画面上には表示されないので、実際に入力してくださる方がそこに何かを書き込むことはありません。ところが、機械的にすべての欄を埋めていくボットは、その見えない欄にも律儀に入力してしまう。だから「この欄が埋まっている送信=人ではない」と判断して、その送信だけ受け取らないようにできる、という仕組みです。

この方法のいいところは、入力してくださる方の手間が一切増えないことです。画面には何も足さないので、「ロボットではありません」にチェックを入れる、といった操作をお願いせずに済む。多くの場合は追加の費用もかからず、フォームに少し仕込むだけで導入できます。使う人の体験を邪魔しないという点で、だから僕は、まずここから考えます。

ただし、万能ではありません。作りの賢いボットは、見えない欄を見破って、そこだけ入力を避けることがあります。ハニーポットは「素直なボットにはよく効くけれど、手の込んだ相手には通用しないことがある」。その前提で使うのが正しい距離感だと思っています。

reCAPTCHA:Googleが提供する「人か機械かの判定」

二つ目は、名前を聞いたことがある方も多いかもしれません。reCAPTCHA(リキャプチャ)です。Googleが提供している、送信してきたのが人か機械かを見分けるための仕組みです。大きく分けて二つのバージョンが使われています。

v2は、フォームに「私はロボットではありません」というチェックボックスが出るタイプ、と言えば思い浮かぶ方が多いはずです。場合によっては、信号機や横断歩道の写真を選ぶ画面(画像選択)が出ることもあります。あれがv2です。使う人に一手間お願いする代わりに、機械かどうかの判定はわかりやすくはっきりします。

v3は、その一手間がありません。チェックも画像選択も表示せず、裏側でその人の動きを見て「どれくらい人間らしいか」を点数(スコア)として出します。スコアは0から1の範囲で、初期設定はだいたい真ん中あたり。ここを自分たちのフォームに合わせて上げ下げします。使う人は判定されていることに気づかないまま送信できるのが利点です。ただしv3は、「何点以上なら人として通す」という合格ラインを自分たちで調整する必要があります。ここを詰めておかないと、本当のお客様まで弾いてしまうことがあるので、入れて終わりにはできません。

reCAPTCHAは強力ですが、いいことばかりではありません。v2は使う人に操作の手間をかけますし、Googleの仕組みを外から読み込む都合上、外部サービスへの読み込みやプライバシーの観点を気にする場面もあります。似た役割の代わりの仕組みとして、hCaptchaやCloudflare Turnstileといった選択肢もあります。目的や方針に合わせて選べる、と知っておくと選択肢が広がります。

どちらを使うか:僕たちの考え方

ここまで二つを並べましたが、大事なのは「どちらが優れているか」ではなく「どう組み合わせるか」だと考えています。

僕たちがフォームを作るときは、まず使う人の体験を邪魔しないハニーポットから入ります。手間をかけずに、素直なボットをかなり減らせるからです。それでも迷惑な送信が目立つようなら、次の段としてreCAPTCHAを検討する。いきなり強い守りから始めて、本当に届けたい人にまで負担をかけてしまうより、必要な分だけ守りを足していく。この順番を大切にしています。

完璧にゼロにしようとすると、たいてい使う人の体験が犠牲になります。写真選択を何度もさせられて問い合わせをやめてしまった、という経験は、きっと誰にでもあるはずです。守りを固めることと、入口を使いやすく保つこと。その天秤のどこに置くかを、案件ごとに選ぶ。そこにこそ、その会社らしさが出ます。

フォームは、守りながら開いておくもの

問い合わせフォームは、会社にとって数少ない「初めての人と出会える入口」です。だからこそ、迷惑な送信からは守りつつ、本当に届けたい人にとっては軽くて使いやすい状態を保っておきたい。守ることと、開いておくこと。そのどちらも手放さずにいたいと考えています。

もし今、フォームからの営業メールに少し疲れているなら、まずは「これは人ではなく機械から来ている」と知るところから。それだけでも、受信箱との向き合い方が、ほんの少し軽くなるかもしれません。

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