
「お客様がこうしてほしいと言っているなら、その通りに作るのが一番いいのでは?」
デザイン会社の仕事について、そんな疑問を持ったことはないでしょうか。
もちろん、お客様の要望を聞くことはとても大切です。
でも実際の制作現場では、いただいた要望をそのまま形にするのではなく、「本当にこの方法が一番いいのか?」「そもそも、なぜこれを作りたいのか?」と考え、別の方法をご提案することもあります。
今回のTone Village Channel「社長の頭の中」では、「お客様の言う通りに作るのがプロ?」をテーマに、アプリコットデザイン代表の中村に話を聞きました。

ずばり「言われた通りに作る」が正解のこともあります
最初に聞いてみたのは、「お客様がお金を払って依頼しているのであれば、基本的には言われた通りに作るのが一番いいのでは?」という素朴な疑問です。
これに対する答えは、意外にも「そういう場合もある」でした。
お客様と話をしていく中で、「本当にこの形のものを作ること自体が目的なんだ」と分かれば、その要望に沿って制作する。
大切なのは、最初から「プロだから別の提案をしなければ」と考えることではなく、お客様が本当に求めているものを知ることです。
お客様が欲しいのは「ホームページ」ではない?
一方で、こんな話も出ました。
たとえば、お客様から「ホームページを作りたい」という相談をいただいたとします。
でも、そのお客様が本当に欲しいものは「ホームページ」という物そのものなのでしょうか。
もしかするとお客様は、「商品をもっと多くの人に知ってほしい」とか、「採用応募を増やしたい」「お問い合わせにつなげたい」といった、その先の成果を求めているのかもしれません。
また、話を聞いてみると、ホームページを作るよりも動画や広告を使った方が目的を達成しやすいケースもあります。
だからこそ、最初に出てきた「ホームページを作りたい」という要望だけを見るのではなく、「なぜ作りたいのか」「その先で何を実現したいのか」まで聞くことが大切だと中村は話します。
「会社が伝えたいこと」と「見る人が知りたいこと」は違う
ホームページ制作では、もうひとつ考えなければいけないことがあります。
それが、実際にホームページを見る人の存在です。
会社側には、「これを伝えたい」とか「この強みを大きく見せたい」という思いがありますよね。
でも、それが必ずしもユーザーの知りたいことと一致するとは限りません。
そこでデザイン会社が間に入り、「この会社の魅力を、どう見せればユーザーに伝わるだろう?」と考えます。
だから別のデザインや見せ方をご提案するときも、単に「私たちはこちらのデザインを作りたいから」という理由ではなく、「見る人にどう伝わるか」を基準に考えます。
そのためには、お客様と制作会社の間で、「誰に見てもらいたいのか」「何をゴールにするのか」という認識を共有しておくことも重要です。
お客様の「好き」はデザインに入れる?入れない?
デザインを見たとき、「私はこっちのデザインが好き」と言う好みを感じたり、好みを元に「こういう雰囲気にしてほしい」と感じるのは、とても自然なことです。
しかし、デザインの好みが、必ずしも自分が伝えたいものを伝えるデザインになる、というわけではありませんよね。
では、目的を達成するデザインを作るためには、こうした「好み」は排除した方がいいのでしょうか?
この疑問に対する中村の答えは、むしろ逆でした。
会社の経営者が持っている「こういうデザインが好き」という感覚は、ある程度デザインに取り入れた方がいいと考えているそうです。
なぜなら、デザインにはその会社らしさを表現する役割もあるからです。
たとえば、本当は落ち着いた雰囲気を大切にしている会社なのに、Webサイトだけがまったく違う印象になっていたら、実際に会社と接したときにギャップが生まれてしまいます。
目的だけを考えて「正しいデザイン」を作ればいいわけでもない。
デザインは、その会社が大切にしているものや、その会社らしさも含めて考える必要があります。
「きれいなデザイン」って、そもそも何?

動画の後半では、「デザイン会社はきれいなものを作るところ?」という話にもなりました。
中村いわく、きれいなデザインは必要です。
ただし、ここでいう「きれい」は、単純におしゃれだったり、芸術的だったりすることではありません。
情報がきちんと整理されていて、見やすく、必要なものが目に入ってくる。
一見すると情報量が多く見えるデザインでも、必要な情報が整理されていれば「きれいなデザイン」と考えることができると中村は答えました。
つまり、「きれいなデザイン=おしゃれなデザイン」ではないのです。
ここから話は「アートとデザインは違う」というテーマにも広がりましたが……こちらはまた別の機会に掘り下げたいと思います。
「何を作るか」の前に、「何のために作るか」を考える
今回の話を聞いて印象的だったのは、デザイン会社の仕事は「お客様の要望に従うか、プロとして別の案を提案するか」という二択ではないということでした。
言われた通りに作ることが、一番いい場合もあるし、
別の方法を提案した方がいい場合もある。
それを判断するために必要なのが、まずお客様の話を聞くことです。
「何を作ってほしいのか」だけではなく、なぜそれを作りたいのか。
その先で、誰に何を伝え、何を実現したいのか。
そこまで一緒に考えたうえで、必要なものを形にしていく。
それも、デザイン会社の仕事のひとつなのだと思います。
▼お客様の言う通りに作るのも、プロの仕事?|デザイン会社が考える「提案」の話はこちら
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