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経営者の仕事

新しい商売は、先に一件売ってみる

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Nakamura Hiroki クリエイティブディレクター / 代表取締役
Nakamura Hiroki

クリエイティブディレクター / 代表取締役。ブランドマネージャー1級/インターナルブランディング認定コンサルタント/WEBデザイン技能士/WEBマーケティング検定/ネットショップ実務士。

新しい商売は、先に一件売ってみる
この記事は、YouTube(音声ラジオ)でも聴けます。作業のおともに、ながらでどうぞ。

こんにちは、アプリコットデザインの中村です。今日は、新しい商売を始めるときの順番の話です。

先に言ってしまうと、始める前に、小さく一件売ってみたほうがいいと思っています。準備を完璧にしてから出すより、途中でいいので一度お金をいただくところまで通してみる。そのほうが、あとが楽になります。

僕の場合は、副業のECサイトでした

二十三歳のときに、自分の店を始めました。ただ、その直前まで、会社勤めをしながら副業をしていたんです。

やっていたのはECサイトです。自分で立ち上げて、仕入れて、住んでいたアパートの一室を在庫置き場にしていました。副業が当たり前という時代ではありません。パソコンが得意だったわけでもなく、ホームページを作ったこともありませんでした。売れているサイトを見ながら、見よう見まねで作りました。

それでも、ぼちぼち売れていったんです。

いま振り返ると、この「ぼちぼち売れた」がその後をかなり左右しました。

頭の中の見込みと、一件売れた事実は、別物です

新しいことを始めるとき、たいていは先に計画を作ります。いくらで、何件くらい、どういう人が買ってくれそうか。

これは必要な作業です。ただ、計画の中の数字は、まだ何も起きていない数字でもあります。

実際に一件売れると、そこが変わります。買う人がいるかどうかを机の上で見積もるのと、目の前でひとつ買っていただくのとでは、手元に残るものがまるで違います。売れた理由も、そこまでにかかった手間も、そこで初めて具体的な形になります。

そして、これは気分の話だけではありません。

銀行に持っていく数字が、変わります

店を始めるとき、銀行からお金を借りました。そのときに材料になったのが、副業でやっていたECの実績です。

何もないところから「たぶん、これくらい売れます」と言う。もう一方は「実際に、これくらい売れていました」と言う。同じ数字でも、受け取られる重さがまったく違います。

金額が大きい必要はないと思います。うちの当時の数字も、たいしたものではありませんでした。それでも、その数字は自分が実際に起こした結果なので、根拠として説明できます。見込みは説明できても、証明はできません。

創業の融資でも、新規事業の相談でも、ここは同じだと思います。

もうひとつ、向き不向きが分かります

小さくやってみることには、数字とは別の効用もあります。その仕事を続けられるかどうかが、自分の反応で分かることです。

会社としてなら、見るのは担当者の反応です。問い合わせが来たときに、その人が先に手を伸ばすのか。それとも、後回しになるのか。試作を見せに行くのを、楽しみにしているのか。ここは面談で聞いても出てきません。実際に一件動かすと、態度のほうに出ます。

新しい柱を立てるとき、担当する人がそこを面倒だと感じているなら、事業の筋がよくても続きません。逆に、放っておいても手が動く人がいるなら、多少うまくいかない時期も越えられます。

一件やってみるのは、市場を見るためでもありますが、誰がこれをやるのかを決めるためでもあると思っています。

新しいサービスを足すときも、同じ順番でやっています

これは独立の話に限りません。うちが新しいサービスを始めるときも、同じ順番でやっています。

資料を整えて、ページを作って、料金表を用意してから世に出す。以前はそうしていました。いまは、先に一件やってみます。知り合いの会社に、まだ名前もついていない状態で相談して、やらせていただく。

そうすると、想定していなかったことが必ず出てきます。手間がかかるのは思っていたところではなかった、とか。喜ばれたのは、こちらが主役だと思っていた部分ではなかった、とか。

その一件を通してから資料を作ると、書ける内容がまったく変わります。先に作った資料は、想像で書いた資料です。

やってみるときの決めごと

小さくやってみる、というときに、うちで決めていることが二つあります。

ひとつめは、無料にしないことです。金額は下げてもいいので、お金をいただくところまで通します。無料だと、相手も気を使って良いことしか言いませんし、こちらも本気の手間をかけません。判断の材料になりません。

ふたつめは、期間を先に切ることです。三か月なら三か月と決めて、そこで一度やめるか続けるかを決めます。決めていないと、なんとなく続いて、なんとなく消えていきます。

順番が逆になると、何が起きるか

もうひとつだけ、独立そのものについて思っていることを書かせてください。

僕は、独立したいから独立したのではありませんでした。商売が面白くてやっていたら、そこに独立という選択肢が出てきた。そういう順番でした。

この順番でよかったと、いまでも思います。独立そのものが目的になっていると、店を開けた日で満足してしまうからです。開店の日は、準備してきたものが形になる、いちばん高揚する日でもあります。ただ、その日の売上で店が続くわけではありません。

新規事業も、たぶん同じです。始めることが目的になっていると、始まった時点で力が抜けます。そのあと何年も続くほうが本番なので。

今日、手元でできること

いま構想している新しいことが、何かひとつはあると思います。

その計画をもう少し詰める前に、いちばん近くにいる方に一件だけ、いまの形のまま持っていってみてください。金額を下げてもいいので、お金をいただくところまで。

僕らがご相談を受けるときも、まずそこを聞きます。一件でも実際にやったことがあるかどうかで、そのあとの打ち合わせの中身が変わってしまうので。

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