【気になるデザイン】こいのぼり

UPDATE：2019.5.8

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こんにちは、ディレクターの月山です。
突然ですが、

こちらのイラスト、何に見えますか？
こちらは『こいのぼり』をデフォルメしたものです。ちょっとわかりづらいですよね。
今回は、この4つの正方形が、ふと、こいのぼりと認識するまでの過程を追っていきたいと思います。
ではもう一度イラストを見て見ましょう。

上から
①ふきながし
②真鯉（黒）
③緋鯉（赤）
④子供の鯉（青）
確かに『こいのぼり』と言われてみれば配色はそうかもしれない。
けれど無理がありますよね。だって鯉のぼりの形をしていないのですから。
今度は横にビヨーンと伸ばしてみます。

何か細長いモノが並んでいるように見えます。
言われてみればこいのぼりに見えなくもない・・・ですがこれも情報不足！
もう少し具体化の実験をしていきます。
まず簡単な方法として、それぞれの長さを調整してみます。

いかがでしょうか？
左揃えにしたのがキモです。
図鑑の魚の絵や写真は左向きが多く、多くの人の記憶に刷り込まれています。
長方形を生き物と連想したとき、縦方向に頭が揃っている生き物群に見えます。
さらに、一番上で面積が大きいふきながしの存在が際立ち、深い推測が始まります。
ここまで来ればこいのぼりまでリーチではないでしょうか！
別の具体策として、重力を表現してみます。

10度傾けてみました。
単純に傾けただけではこいのぼりとわかりませんでした。
（そもそも傾けない方がわかりやすい？）
さらに深追いして長さを調整してみます。

うーん、長さの違い　と　傾き　がイラストの中で喧嘩しだしました。
これは傾きの要素がノイズとなってしまった結果です。
考えてみれば、
重力に関係ないおもちゃのこいのぼりや、
スーパーの売り場に飾られているこいのぼりを
強くイメージする方も多いのではないでしょうか？
きっとその方たちのこいのぼりのイメージでは、こいのぼりは重力で傾いていないのではないでしょうか？（たぶん）
こうして、
重力の表現より長さの違いを表現した方が認識への近道だという仮説が立ちました。
他の表現として、
・長さや太さの整理
・目や鱗を表現する
・矢車やポールを描き足す
・近くに子供を描く
・景色を書く
・「これはこいのぼりです」って書いちゃう　
とまあ無限にあります。
デザイナーの仕事はここから最適な答えを導き、表現すること。
伝わらないのであればただのストレスを与えるだけ。無い方がいいよねってなります。シビアな世界です。