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ブランディング 2026.07.13

余白は、いちばん伝わる場所をつくる

WRITER
Nakamura Hiroki クリエイティブディレクター / 代表取締役
Nakamura Hiroki

クリエイティブディレクター / 代表取締役。ブランドマネージャー1級/インターナルブランディング認定コンサルタント/WEBデザイン技能士/WEBマーケティング検定/ネットショップ実務士。

余白は、いちばん伝わる場所をつくる
この記事は、YouTube(音声ラジオ)でも聴けます。作業のおともに、ながらでどうぞ。

こんにちは、アプリコットデザインの中村です。

手帳やカレンダーが予定でびっしり埋まっていると、なんとなく「ちゃんとやれている」という手応えがあります。逆に、ぽっかり空いた時間があると、少しそわそわして、つい何かを入れたくなる。日々、価値を伝える仕事をしている方ほど、この感覚は強いかもしれません。今日は、その「余白」について、デザインの現場から考えてみます。

デザインでは、余白そのものが仕事をしている

デザインの世界に、余白(ホワイトスペース)という考え方があります。紙面でもWebページでも、何も置いていない空白の部分のことです。デザインに馴染みがない方からは、余白は「まだ何も置いていない、もったいない場所」に見えることがあります。ここにもう一つ情報を足せるのでは、と。

ですが、実際は逆です。文字や写真で埋め尽くした誌面は、一見すると情報量が多くて親切そうに見えて、何も伝わりません。どこを見ればいいのか目が迷い、いちばん大事なメッセージが、その他大勢に埋もれてしまう。余白があるからこそ、主役が引き立ち、「ここを見てほしい」が正しく伝わります。余白は、伝えたいことを伝えるために意図してつくる、れっきとした設計の一部なのです。

ブランディングでも、私たちは「余白」をとります

これは、僕がブランディングでお客様と向き合うときにも、そのまま当てはまります。

ヒアリングの最初のうちは、あえて結論を急がない時間をとるようにしています。すぐに「御社の強みはこれです」と答えを出しに行くのではなく、いろいろな話を、行ったり来たりしながら聞いていく。一見すると遠回りに見えるのですが、その余白の中から、その会社の本当の”らしさ”が、ぽろっと姿を現すことがあるんです。効率だけを考えたら省きたくなる時間に、実はいちばん大事なものが眠っている。だから僕は、この時間をいちばん大切にしています。

ブランドをつくるとき、あれもこれもと言いたいことを全部載せると、結局いちばん伝えたいことがぼやけてしまう。ぐっと絞って、これを届けたい、と一つに決める。その「選ぶ」という作業を、僕はいつも大事にしているのですが、これは頭にも、時間にも、余白がないとできません。伝えることを選ぶために、余白が要るのです。

忙しさと、生み出している価値は別のものさし

私たちはどこかで、忙しいこと自体を頑張っている証拠のように感じてしまうところがあります。予定が埋まっていると働いている実感があり、空いていると後ろめたい。けれど、動き回った量と、届けられたものの大きさは、別のものさしです。ずっとバタバタしているのに手応えがない、というときは、余白がなさすぎるサインなのかもしれません。

やっかいなのは、余白は放っておくと勝手に埋まっていくことです。だからこそ、あえて予定として確保する。カレンダーに「予定なし」という予定を入れて、ここは埋めない、と決めておく。立ち止まって考える時間、振り返る時間、人とゆっくり話す時間。すぐには成果にならないけれど、あとからじわっと効いてくる価値は、たいていその余白から生まれてきます。

もしよかったら、来週のカレンダーに一か所、何も入れない時間を、予定として入れてみてください。その空白が、次のいい仕事の土台になるかもしれません。埋まっていないことに、そわそわしなくて大丈夫です。

今日より明日が、ちょっと楽しくなりますように。

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