お問い合わせ・無料相談
ブランディング 2026.08.11

強みは出てこないのに、困りごとはすぐ出てくる

WRITER
Nakamura Hiroki クリエイティブディレクター / 代表取締役
Nakamura Hiroki

クリエイティブディレクター / 代表取締役。ブランドマネージャー1級/インターナルブランディング認定コンサルタント/WEBデザイン技能士/WEBマーケティング検定/ネットショップ実務士。

強みは出てこないのに、困りごとはすぐ出てくる
この記事は、YouTube(音声ラジオ)でも聴けます。作業のおともに、ながらでどうぞ。

こんにちは、アプリコットデザインの中村です。今日は、ブランディングのお手伝いをするときに、僕がいちばん最初にやっていることを書いてみます。

先に結論を書くと、強みを聞くのをやめて、困っていることを聞く、ということです。

「御社の強みは何ですか」は、たいてい出てこない

ブランディングの打ち合わせで、御社の強みは何ですか、と伺うことがあります。

これ、たいてい出てこないんです。しばらく考えて、うちは特に何もないんですよね、と言われることが本当に多い。

ところが、困っていることは何ですか、と伺うと、すぐに出てきます。人が少ない、時間がかかる、値段が高い、宣伝が下手。次から次へと出てきます。

それで僕は、そちらのほうを聞いていくようにしています。

人が少ない、というのは、裏を返すと担当が代わらない、ということかもしれません。時間がかかる、というのは、途中で確認する回数が多い、ということかもしれない。値段が高い、というのは、そこに何かをかけている、ということかもしれません。

もちろん、全部が価値になるわけではありません。ただ、少なくともそこには理由があります。理由があるものは、誰かにとって意味を持つ可能性があるんですよね。

強みを探すより、困りごとの理由を聞いていくほうが、結果的にその会社らしいものが出てくることが多いです。これは、たくさんやってきて、そう感じています。

光と影は、そのものの性質ではない

なぜこうなるのか、という話をさせてください。

僕は「光と影」という言葉がけっこう好きなんです。理由は、この二つが、そのものが持っている性質ではないからです。

ここにコップが一つあるとします。光が当たっている面と、影になっている面があります。でも、コップ自体に光の部分と影の部分があるわけではありません。光がどこから当たっているか、それだけで決まっています。

だから、照明の位置を反対側に持っていけば、さっきまで影だったところが光になります。コップは何も変わっていません。変わったのは、こちらの立ち位置と、光の向きだけです。

会社の強みと弱みも、これとよく似ていると思っています。

影を全部消すと、平べったくなる

僕は写真も撮るので、撮影のときに影のことをよく考えます。

影を全部消すことは、できるんです。左右と上から均等に光を当てて、影が出ないようにする。そうするとどうなるかというと、平べったくなります。奥行きがなくなって、のっぺりした絵になる。かたちが分からなくなるんですね。

料理でも、建物でも、人の顔でもそうです。立体に見えているのは、明るいところと暗いところがあるからです。

ですから、撮影でやっているのは、影を消す作業ではなく、影をどこに置くかという作業なんです。

会社も同じだと思っています。苦手なところ、足りないところを全部埋めて、影のない状態になったとしたら、たぶん平べったくなります。特徴のない、まっすぐな面になる。

ホームページを作るときも、これはよく起きます。良いところだけを並べていくと、一見きれいなのに、どこの会社の話か分からないページになるんですよね。

実績がないという事実は、変わっていない

自分の話を書きます。

会社を作ってしばらくのころ、僕には制作実績がほとんどありませんでした。ホームページ制作会社なのに、見せられるものが数点しかない。実績のない会社に頼む方は、いませんよね。

これは、はっきりと弱みでした。

そのとき考えたのは、実績で信頼していただくのは無理だから、別のところで信頼していただくしかない、ということでした。

それで何をしたかというと、自分の経歴をホームページに載せたんです。二十三歳でお店を開いてうまくいかず、ネットショップで盛り返して、それでも怖くなってやめて、また就職して、また独立して三か月でやめて。そういう、あまりかっこよくない話を全部書きました。

これも当時は弱みだと思っていたことです。ふつうの二十代を過ごしていない。まっすぐなキャリアではない。デザインの学校も出ていない。

ところが載せてみたら、それを読んで問い合わせをくださる方が出てきました。しかも、単価を上げてもきちんと受注できるようになったんです。

ここで学んだのは、実績がないという事実は、何も変わっていないということでした。

制作実績が少ないのは事実のままです。消したわけでも、盛ったわけでもない。ただ、そこに当てる光を、実績から経歴に変えただけなんですよね。見る位置が変わると、同じものの評価が変わる。それだけです。

ただし、弱みが全部強みになるわけではありません

ここは正直に書いておきます。

捉え方次第だ、考え方を変えれば全部プラスになる、という言い方をされることがありますが、あれは少し乱暴だと思っています。無理に反転させると、嘘になるからです。

たとえば、納期を守れないことを「丁寧に作っている」と言い換えたとします。言葉の上では成立しますが、相手からしたら困っている事実は変わっていません。それは光の向きを変えたのではなく、影を隠しただけです。

違いはたぶんここにあります。その影が、誰かにとっての価値になっているかどうか。

僕が経歴を出してうまくいったのは、僕と同じようにお店をやっている方や、これから何かを始めようとしている方にとって、あの失敗談が意味を持ったからです。誰にとっても意味がなかったら、ただの自分語りで終わっていたと思います。

ですから、変換できるかどうかは、自分の中では決まりません。

自分の影は、自分からいちばん見えにくい

そして、ここがいちばん難しいところです。

自分の影は、自分からいちばん見えにくいんです。なぜかというと、自分は光の側に立っているからです。自分から見ると、自分にはずっと光が当たっている。影ができているのは、いつも向こう側なんですよね。

だから、自社の弱みが誰かにとって価値になっているかどうかは、社内ではまず気づけません。

ブランディングのお手伝いで僕らが外から入る意味は、たぶんここにあります。特別なものを持ち込むわけではなくて、光の当たっていない側に立ってみる、というだけのことです。

御社の強みは何ですか、という問いに答えが出ないとしても、それは強みがないということではありません。ただ、そこに光が当たっていないだけかもしれない。

もし、うちには特に何もない、と感じておられるなら、困っていることのほうから話してみていただけたらと思います。そこから始まることのほうが、実は多いです。

JOURNALが気に入ったら「いいね」してね!

Contact

ブランディング・WEB制作・運用まで、まずは一度お話を聞かせてください。 初回のご相談は無料で承っています。

お電話

0120-622835

10:00〜18:00 / 土日祝休

メールフォーム

お問い合わせはこちら