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事例ページは一行目で決まる

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Nakamura Hiroki クリエイティブディレクター / 代表取締役
Nakamura Hiroki

クリエイティブディレクター / 代表取締役。ブランドマネージャー1級/インターナルブランディング認定コンサルタント/WEBデザイン技能士/WEBマーケティング検定/ネットショップ実務士。

事例ページは一行目で決まる
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こんにちは、アプリコットデザインの中村です。今日は、事例のページに何を書くかという話です。結論から言うと、必要なのは写真でも件数でもなく、4つのポイントだと思っています。頼まれた時の状況、いちばん迷ったところ、やったこと、そのあとどうなったか。この4つです。

なぜその4つなのか。うまくいっていないほうの話から始めます。

事例のページは作ったものの名前で埋まる

事例のページは、どこの会社にもあります。住宅会社なら施工事例、士業の方なら解決事例、うちのような制作会社なら制作実績です。

そして、たいてい作ったものの名前で埋まっています。「〇〇様邸 木のぬくもりを感じる家」「コーポレートサイト リニューアル」。写真がきれいに並んでいて、件数もどんどん増えていきます。

それなのに、問い合わせのきっかけになっている感じがしない。掲載の許可を取って、写真を撮り直して、ちゃんと手をかけているのに、読んだ人の中には何も残らない。そういうことが起きています。

読む側と書く側で見ているものが違う

理由ははっきりしていると思っています。読む側と書く側で、見ているものが違うからです。

書く側は工程を覚えています。どこを何回直したか、どこが大変だったか。全部わかっているので、作ったものの名前を書けば、なんとなく伝わる気がしてしまいます。

でも読む側は、そこにいなかった人です。事例を見に来る人が探しているのは、上手な会社かどうかではありません。自分と同じ状況の人が、そのあとどうなったかです。似た家族構成、似た予算、似た困りごと。そこが一行目に無いと、自分の話として読み始められません。

1つ目は頼まれた時の状況

その人が何に困っていて、どういうタイミングで来たのか。ここを一行目に持ってくる。それだけです。

住宅会社の施工事例で考えてみます。今が「〇〇様邸 木のぬくもりを感じる家」だとしたら、こう書き換えます。「上のお子さんが小学校に上がる前に、と決められたお宅です。予算の都合で、2階は今は仕切らないことにしました」。急に自分ごとになる一行です。

美容室なら、今が「カット+インナーカラー」だとします。これを「産後で、月に一度しか来られない方でした。伸びても目立たない入れ方にしています」。だいぶ印象が変わります。

税理士事務所で「相続税申告 実績40件」と書いてあるところなら、「ご兄弟3人で話が止まっていた相続でした。最初にやったのは、3人それぞれの希望を紙に並べることでした」。

うちの仕事なら、「コーポレートサイト リニューアル」を「求人に応募が来ない、という相談から始まりました。最初に作り直したのは、採用ページではなく社員紹介のページでした」に変えます。

読んでいて気づかれたと思いますが、後のほうは全部、うまくいった自慢になっていません。困っていた話から始まっています。同じところで困っている人が読むので、それでいいと思っています。

2つ目はいちばん迷ったところ

ここが4つの中でいちばん抜けやすいところです。そして、いちばん差が出るところでもあります。

仕事の中身は、決めた結果ではなく、決める前の分かれ道に出るからです。

さっきの住宅会社なら、こう書けます。「予算に収めるために、外壁のグレードを落とすか、部屋を1つ減らすか。ご夫婦で意見が分かれていました。10年後にお子さんが出ていく前提で、部屋数のほうを削りました」。

うちの例で言うと、「トップの一行目に料金の安さを出すかどうかで、社内が割れました。出せば問い合わせは増える。ただ、来る人が変わってしまう。だから出さないほうを選びました」。

こういう一行があると、この会社は何を基準に決める会社なのかがわかります。作ったものは真似できますが、迷い方は真似できません。

3つ目のやったことは短くていい

意外に思われるかもしれませんが、ここは一行で足ります。「間取りを2回引き直しました」「サイトを作り直して、写真を撮り直しました」。それくらいで十分です。

作った側なので、工程を細かく書きたくなります。ただ、読む人の関心はそこまで高くないところです。

4つ目はそのあとどうなったか

引き渡してから、公開してから、申告が終わってから。そのあとに何が起きたかを書きます。

数字があれば、数字を書くのがいちばんです。「応募が3件ありました」「引き渡しから2年で、同じ地区から3件ご紹介をいただきました」。

数字が出ない仕事のほうが多いと思います。その場合は、お客様に言われた言葉を1つだけ。作った直後の「ありがとう」ではなく、しばらく経ってから言われたことのほうがいいです。半年後に言われたことは、お世辞では出てきません。

うちがやったから増えましたとは書かない

ここで1つだけ気をつけたいところがあります。数字を書くときに、うちがやったから増えました、という書き方をしないことです。

応募が3件来たのは、たぶんサイトだけの話ではありません。求人票も直したかもしれないし、その年の相場もあったかもしれない。

なので、そのあと何が起きたかを事実として置くだけにしています。「公開して3か月で、応募が3件ありました」。それ以上は書きません。

少し物足りない気もするのですが、読む人はそこをちゃんと見ています。うちのおかげです、と書いた瞬間に、他の行まで割り引いて読まれてしまいます。

書けないのは忘れたからではない

4つ挙げましたが、ここで1つ引っかかるところがあるはずです。書けないポイントが出てくる。とくに2つ目と4つ目です。迷ったところを思い出せない、そのあとを知らない。

これは忘れたのではなく、聞いていないんだと思います。うちもそうでした。

なので、社内で聞きます。担当した人に3つだけ。頼まれた時、その人はなんと言っていたか。途中でいちばん迷ったのはどこか。終わったあとに何か言われたか。

5分で終わります。この3つを聞くと、たいてい担当者本人がいちばん喋ります。誰にも話していないだけで、覚えてはいるからです。

直近の3件を45分で書いてみる

やり方も決めておきます。まず、直近で終わった3件を選んでください。うまくいった順ではなく、終わった順で構いません。選ぶところで悩むと、そこで止まってしまうので。

その3件について、さっきの4つを書きます。1件15分くらい、3件で45分です。全部を書き直そうとすると絶対に終わらないので、3件だけ。

そのうえで、事例ページの一行目だけ、作ったものの名前から頼まれた時の状況に差し替えます。写真の位置もレイアウトもそのままで大丈夫です。一行目だけ。残りの何十件かは、そのままにしておいて構いません。

3件書いてみると、4つのうちどれが自分の仕事で活きるかが見えてきます。そこから増やしていけばいいと思っています。いきなり全部はやらない、ということです。

事例が増えても伝わらないのは、作ったものの名前しか書いていないからです。よかったら、いちばん最近終わった1件だけ、頼まれた時の状況を一行、書いてみてください。

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