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ブランディング 2026.07.13

ブランディングは、ロゴをつくることじゃない

WRITER
Nakamura Hiroki クリエイティブディレクター / 代表取締役
Nakamura Hiroki

クリエイティブディレクター / 代表取締役。ブランドマネージャー1級/インターナルブランディング認定コンサルタント/WEBデザイン技能士/WEBマーケティング検定/ネットショップ実務士。

ブランディングは、ロゴをつくることじゃない
この記事は、YouTube(音声ラジオ)でも聴けます。作業のおともに、ながらでどうぞ。

こんにちは、アプリコットデザインの中村です。

「そろそろブランディングをやりたいんです」というご相談をいただくとき、その多くは「まずロゴを新しくしたくて」「見た目を今っぽく整えたくて」という切り口から始まります。とても自然なことだと思います。ブランディングと聞いて最初に思い浮かぶのは、ロゴや色やおしゃれなデザインですから。ただ、実務の現場でいちばん最初にお伝えしているのは、ここなんです。ロゴを新しくすることと、ブランディングをすることは、イコールではありません。

ブランドは、すべての接点の積み重ねでできる

ブランディングとは、その会社やお店の「らしさ」を決めて、お客さまが触れるすべての接点で、それをそろえていくこと。僕はそう考えています。ロゴは、その中のひとつのパーツにすぎません。

たとえば、ロゴだけをかっこよく新しくして、名刺も看板もぴかぴかになったとします。けれど、電話の応対はこれまでどおり、店内の空気もそのまま、SNSで発信する言葉もバラバラ。これでは、お客さまが受け取る印象は、実はあまり変わりません。看板だけ新しくして、中に入ったら接客も雰囲気も前と同じだったら、「変わったのは表面だけだな」と感じられてしまう。

ブランドは、ロゴそのものの中にあるのではなく、お客さまの頭の中にできあがる「あの会社って、こういう感じだよね」という印象です。そしてその印象は、ロゴ、電話の声、店内の音やにおい、商品の手ざわり、SNSの言葉づかい、スタッフの表情、そういったものが積み重なってできていきます。だから、ロゴだけを新しくしても、ほかがバラバラなら印象はぼやける。逆に、すべてがそろっているからこそ、「あの会社らしい」がくっきり立ち上がるのです。

順番は、むしろ逆

そう考えると、実は順番が逆なのだと思います。ロゴは目に見えてわかりやすいので、つい最初に手をつけたくなる。作ったものが手元に残り、まわりにも共有しやすいですから。一方で「自分たちのらしさを言葉にする」作業は、目に見えず、地味で、正解もなく、時間がかかる。だからこそ後回しにされがちですが、本当は、その見えにくいほうを先にやる価値があります。

先に決めるのは、「自分たちは何を大事にしていて、どうありたいのか」。どんな人に、何を届け、どんな気持ちになってほしいのか。この芯が定まると、不思議なほど、ロゴも言葉も色も接客も、自然と決まってきます。デザインは、その芯を目に見えるかたちへ翻訳したもの。出発点ではなく、むしろ結果に近いのです。芯があいまいなままロゴだけ先に作ると、かっこいいけれど「自分たちっぽくない」ものになりがちなのは、このためです。

新しく作るより、見つけて言葉にする

では、その「らしさ」はどう見つけるのか。特別な発想力は要りません。多くの場合、答えはその会社の中に、もうあります。なぜこの仕事を始めたのか。どんなときにいちばんうれしいと感じるか。どんなお客さまに、どうなってほしいのか。逆に、どんな仕事の仕方はしたくないのか。こうした問いをひとつずつたどると、その会社ならではの、大事にしているものの輪郭が見えてきます。ブランディングの最初の仕事は、新しく何かを作ることではなく、もともとあるものを見つけて、言葉にすることなのです。

だから、僕がブランディングでお客さまと向き合うときも、最初にやるのはロゴの話ではありません。その会社の「らしさ」を、対話しながら、いっしょに言葉にしていく。ここにいちばん時間をかけます。ここさえ固まれば、あとのデザインは、その言葉に沿って形にしていけばいい。

これは会社の規模に関係なく通じる話です。一人で仕事をされている方でも、広報を担当されている方でも、「自分は、うちの会社は、何を大事にして、どうありたいのか」がはっきりしていれば、発信する言葉も、お客さまへの返信も、資料のつくり方も、同じ方向を向いていきます。もしよかったら、一度、自分たちの「らしさ」を一言で言えるか、日々の言葉や振る舞いや発信がそれにそろっているか、点検してみてください。ロゴをつくるのは、その一部で、しかもいちばん最後でちょうどいい。まずは、自分たちの芯を言葉にするところから。

今日より明日が、ちょっと楽しくなりますように。

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