「情報発信室のメモ帳」とは
情報発信室のメモ帳は、情報発信の仕事をする中で見つけた小さな気づきや違和感を綴る連載です。
ブログやSNS、YouTubeの運用を通して考えたことを、メモのように残しています。
私がそのことに気づいたのは、何がきっかけだったのかは今となっては思い出せない。ただ、とある企業ブログを読んでいた時、私の手がふと止まったことだけは覚えている。「この話は読んでみたい」と思う記事がある。一方で同じようなテーマなのに、そのまま通り過ぎてしまう記事もある。この違いは、一体何なんだろう。
私は情報発信を仕事にしている。でも同時に、多くの企業ブログを読む一人の読者でもある。普段は「どう伝えるか」を考える側に立っているけれど、このときばかりは違った。純粋に、一人の読者として記事を選んでいた。そしてその選び方には、自分でも説明できない何かがあるような気がした。
サムネイルは何を伝えているのか
あなたは、ブログの記事を選ぶとき、何を見ているだろうか。
記事一覧に並ぶ、ブログのタイトルとサムネイル……特に目に付くのはサムネイルである。サムネイルって、何を伝えるものなんだろう。
そう考え始めてから、記事一覧の見え方が少し変わった。それまでもサムネイルは意識していたし、記事の第一印象を決める大切な要素だという認識もあった。ただ、その役割は「記事の内容を分かりやすく伝えるもの」だと、どこかで決めつけていたように思う。だからこそ、改めて一つひとつ見比べてみることにした。すると、同じように文字が入ったサムネイルでも、どこか印象が違うことに気づく。違うのはデザインでも、色使いでもない。もっと根本的な何かだった。
あるサムネイルは、「この記事には何が書かれているのか」を伝えていた。一方で、別のサムネイルは記事の内容を説明しているわけではない。それでも不思議と目が止まる。「何の記事なんだろう」ではなく、「ちょっと読んでみたい」。そんな気持ちが、タイトルを読む前に生まれていた。
面白いのは、どちらのサムネイルも正しく機能しているように見えたことだ。「この記事には何が書かれているのか」を伝えることもできているし、「読んでみたい」という気持ちをつくることもできている。違うのはデザインではなく、サムネイルに与えられている役割そのものだった。
そう考えた瞬間、一つの疑問が浮かんだ。サムネイルは、何か一つの正解があるものではなく、そのメディアが読者に何を届けたいのかによって、役割そのものが変わるのではないだろうか。もしそうだとしたら、その違いはどこから生まれているのだろう。
気になった私は、いくつかの企業ブログを改めて見比べてみることにした。
役割が違えば、サムネイルも変わる。
いくつかの企業ブログを見比べてみると、面白いことに、その違いは思っていた以上にはっきりしていた。
ノウハウ記事が中心のメディアでは、サムネイルにも記事タイトルに近い言葉が並んでいることが多い。「この記事を読むと何が分かるのか」が一目で伝わるように作られている。一方で、コラムや読み物が中心のメディアでは、サムネイルは記事の内容を説明していない。「それってどういうことだろう」「続きを読んでみたい」。そんな感情を生み出す一言が添えられていることが多かった。
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▲一例として、「情報発信室のメモ帳」シリーズのサムネイルにも注目してもらいたい。このサムネイルはどちらの役割を担っているだろうか。
ノウハウ記事を読む人は、「知りたいこと」があって記事を探している。「この記事には何が書かれているのか」がすぐ分かった方が安心してクリックできる。一方で、コラムや読み物は少し違う。「答え」を探しに来ているというより、「何か面白い考え方に出会えそう」と思って読み始めることが多い。だからサムネイルも、記事の内容を説明することより、「読んでみたい」という気持ちをつくることを優先しているのかもしれない。
そう考えたとき、私はようやく最初の疑問に戻ることができた。なぜ私は、ある記事では手が止まり、別の記事では通り過ぎてしまったのか。その理由は、サムネイルのデザインではなく、サムネイルが担っていた役割にあったのだと思う。
サムネイルは、記事を説明するものでもあり、記事を読みたくさせるものでもある。ただ、そのどちらを優先するかは、メディアが読者に何を届けたいのかによって変わる。サムネイルを見比べていて面白かったのは、その小さな違いの中に、メディアそのものの考え方が表れていたことだった。
まとめ
サムネイルには一つの正解があるのではなく、そのメディアが何を届けたいのかによって、役割そのものが変わる。そう考えると、これまで見てきた企業ブログの違いにも納得がいった。
もちろん、どちらが優れているという話ではない。知りたい情報へ最短でたどり着けることが価値になるメディアもあるし、「この考え方、ちょっと面白いな」と思える出会いを届けることが価値になるメディアもある。その違いが、記事の書き方だけでなく、サムネイルという小さな場所にも表れていた。
そう考え始めると、サムネイルはデザインの一部ではなく、そのメディアの考え方を映すもののように思えてくる。「この記事には何が書かれています」と伝えたいのか。それとも、「少しだけ続きを読んでみませんか」と語りかけたいのか。その違いは、デザインよりも先に、メディアが読者とどう向き合いたいのかという姿勢の違いなのかもしれない。
そのメディアは、読者とどんな関係を築きたいのか。どんな気持ちで記事を読んでほしいのか。そんな考え方まで、小さなサムネイルの中には詰まっているのかもしれない。
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