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会社のこと 2026.06.18

書ける人が書くほど、ブログが育たないのはなぜか

WRITER
Sasayama Sayaka ディレクター
Sasayama Sayaka

ディレクター。ウェブデザイン技能士(2級)/HTML5プロフェッショナル認定資格 レベル1・レベル2。

書ける人が書くほど、ブログが育たないのはなぜか

「情報発信室のメモ帳」とは

情報発信室のメモ帳は、情報発信の仕事をする中で見つけた小さな気づきや違和感を綴る連載です。
ブログやSNS、YouTubeの運用を通して考えたことを、メモのように残しています。


はじめに

ある会社に、情報発信について悩んでいる担当者がいました。

「もっとメディアブログを更新したい」

そう考えた担当者は、ブログを書くメリットを伝えたり、AIで執筆をサポートしたり、気軽に参加できる企画を考えたりしました。

けれど、なかなか状況は変わりません。

メディア担当者自身は勿論、記事を書いています。しかし、それだけではメディアは育ちません。
また、担当者がブログを見返してみると、記事を書いているのはいつも同じ顔ぶれでした。

もちろん、それが悪いわけではありません。けれど社内には、まだ記事になっていない面白い話がたくさんあります。デザインについて語り始めると止まらない人もいれば、お客様とのやり取りの中で得た気づきをたくさん持っている人もいます。

本当はそうした多種多様な知見こそ、多くの人に届ける価値があるのではないか。
そう考えるようになりました。

そこで担当者は、ある方法を思いつきます。

書くことがハードルになっているのなら、話してもらえばいい。インタビュー記事なら、参加する負担を大きく下げられるかもしれない。

担当者は早速インタビュー記事を作成し、メディアブログの更新を増やすことにしました。

「書ける人が書く」は、本当に解決なのだろうか

その話を聞いたとき、私は率直に「良い方法だな」と思いました。

書くことが難しいのなら、話してもらえばいい。

インタビュー記事なら参加のハードルを下げられますし、これまで表に出てこなかった知見を発信する機会も作れます。実際、ブログが更新されないという課題に対しては、とても現実的な解決策に見えました。

ところが、この話を上司にすると、反応は少し違いました。

「それは良い取り組みだと思う。だけど最終的には、本当にその会社に勤める人たちのためになるんだろうか

その指摘に、私はハッとしました。

もし担当者がインタビュー記事を書き続けたら、ブログは更新されるし、記事数も増えてメディアブログの運用は、表向きは良い方向に進むでしょう。

しかし、その状態が続いたとき、「ブログを書く人」は増えているのでしょうか。
あるいは、「発信は担当者がやるもの」という役割分担が、より強くなっているだけの可能性があります。

記事が増えることと、発信する人が増えることは、同じようで少し違います。そして、この違いこそが、今回の話の本質なのではないかと思うようになりました。

更新されるブログと、育つ人は違う

振り返ってみると、その担当者は「ブログが更新されないこと」に悩んでいました。

だからこそ、どうすれば記事を増やせるかを考えていました。書くのが苦手ならインタビュー形式にしてみる。記事を書く負担が大きいなら担当者がサポートする。どれも間違った考えではありませんし、実際に更新を止めないためには必要な工夫だったと思います。

もし担当者が代わりに書き続けたら、たしかに記事は増えるでしょう。けれど、その会社で働く人たちはいつブログを書くのでしょうか。文章を書くことに挑戦したり、自分の考えを整理して伝えたり、誰かに伝えるための情報を発信する経験は、どこで積めばいいのでしょう。

そう考えたとき、上司の言葉の意味が少しわかった気がしました。

もちろん、全員がすぐに記事を書けるわけではありません。文章を書くことが苦手な人もいますし、忙しくて時間が取れないこともあります。それでも、自分の考えを言葉にしてみることや、誰かに読まれることを前提に文章を書くことには、それ自体に価値があります。

担当者が代わりに書くことで記事は増えるかもしれません。しかし、その経験まで代わりに積むことはできません。

発信する人は、どう増えるのだろうか

もちろん、私はインタビュー記事が悪い取り組みだとは思っていません。

実際、発信のハードルを下げる方法としてはとても有効ですし、これまで表に出てこなかった知見を記事として残せる価値もあります。
ただ、今回考えさせられたのは、その先のことでした。

記事を増やすことと、発信する人を増やすことは同じではありません。
誰かが代わりに書くことで更新頻度は上がるかもしれませんが、一方で自分の考えを整理し、言葉にし、誰かに届ける経験までは代わることができません。
だからこそ、「書ける人が書く」という方法は、短期的には正解でも、長期的には別の課題を生む可能性があります。

この話の担当者が向き合うべきだったのは、記事を増やす方法だけではなく、多くの人が無理なく発信に参加できる環境をどう作るか、という問いだったのかもしれません。
だからこそ必要なのは、担当者が代わりに書き続けることではなく、少しずつでも発信に参加できる環境なのかもしれません。

インタビュー記事も、そのための方法のひとつです。いきなり一人で記事を書くのは難しくても、まずは話してみる。誰かと一緒に記事を作ってみる。そうした小さな経験の積み重ねが、結果として発信する人を増やしていくのかもしれません。

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