こんにちは、アプリコットデザインの中村です。
ブランディングのお手伝いをしていると、多くの会社が、まず「他社」を気にされます。あそこがこういうことをやっているから、うちも。あの店がうまくいっているから、それに寄せたほうが、と。その気持ちは、とてもよくわかります。けれど、実務の現場で何度も感じてきたのは、他社と比べれば比べるほど、自分たちの「らしさ」は薄れていく、ということなんです。今日は、この「比べる相手」の話を書いてみます。
他社に寄せると、みんな同じ顔になる
他社と自分たちを比べて、足りないものを埋めにいったり、うまくいっている相手に似せにいったりすると、どうなるか。だんだん、自分たちのらしさが消えていきます。よそを見て、よそに合わせているうちに、業界全体が、同じような顔になっていく。比べれば比べるほど、選ばれる理由だったはずの「自分たちならでは」が、なくなっていくのです。これは、価格競争に巻き込まれていく入り口でもあります。他と同じに見えれば、最後は、安いか高いかでしか比べてもらえなくなるからです。
そもそも、他社と自分たちを並べて比べること自体、あまりフェアではありません。見えているのは、相手のうまくいっている部分だけ。その裏にある試行錯誤や、自分たちには見えていない事情までは分かりません。しかも、会社はそれぞれ、成り立ちも、大事にしていることも、届けたい相手も違う。違うコースを走っている相手のタイムを見て、一喜一憂しても、自分たちのレースには、あまり関係がないのです。
比べるべきは、隣ではなく「どうありたいか」
だから、僕がお客さまと向き合うとき、まず、他社の話はあまりしません。それよりも、その会社自身の話を、ずっと聞きます。よそと比べて足りないものを探すのではなく、その会社の中に、もうすでにある良いものを見つけにいく。比べるべきなのは、隣の会社ではなく、「自分たちは本当はどうありたいのか」という理想のほうです。その理想と、今の自分たちを比べて、その差を一歩ずつ埋めていく。この「自分たちの中の、昨日と今日」を比べる視点に立てると、ブランディングは、他社に振り回されない、地に足のついたものになります。
これは、個人の成長の話とも、まったく同じ構造だと思っています。人も、他人と比べると足りないところばかりが見えて苦しくなりますが、過去の自分と比べると、進んだところが見えてくる。会社も同じで、去年の自分たちと比べて、何ができるようになったか、どんな声をいただけるようになったか。その積み重ねを見るほうが、よその成功例を追いかけるより、ずっと確かな指針になります。
もしよかったら、次の戦略を考えるとき、競合分析の前に、一度、自分たちの棚おろしをしてみてください。よそにはない、自分たちが当たり前にやってきたこと。長く付き合ってくださるお客さまが、選び続けてくれる理由。そこにこそ、他社と比べても揺らがない、あなたの会社の芯があります。よそのコースを眺めるのは、たまにでいい。ふだんは、自分たちの足元と、少し先を見て進んでいく。それが、いちばん強いブランドのつくり方だと思っています。
今日より明日が、ちょっと楽しくなりますように。
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