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BRANDING,MANAGEMENTWORK 2026.08.13

「お任せください」で終わるサイトが伝えていること

WRITER
Nakamura Hiroki クリエイティブディレクター / 代表取締役
Nakamura Hiroki

クリエイティブディレクター / 代表取締役。ブランドマネージャー1級/インターナルブランディング認定コンサルタント/WEBデザイン技能士/WEBマーケティング検定/ネットショップ実務士。

「お任せください」で終わるサイトが伝えていること
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こんにちは、アプリコットデザインの中村です。今日は、ピグマリオン効果という言葉から書いてみます。

元になっているのは、1960年代のアメリカで行われた有名な実験です。

小学校で知能テストをやったあと、研究者が先生に一枚のリストを渡します。この子たちはこれから伸びますよ、と。ですが実はそのリストは、テストの結果とは関係なく、くじ引きのように選ばれた子どもたちでした。

数か月後にもう一度テストをすると、リストに載っていた子どもたちの成績が、本当に上がっていたそうです。

上がる理由がどこにもないんですよね。テストの点で選ばれたわけではないので。変わったのは、先生の見方だけでした。

伝わったのは、言葉ではなく態度

この話が僕はけっこう好きで、というより、怖い話だと思っています。逆もあるからです。期待されなかった側は、下がる。ゴーレム効果と呼ばれています。

では、何が伝わったのか。

先生は本人に「君は伸びるよ」なんて言っていないはずです。伝わったのは、態度のほうだと思います。

伸びると思っている子に対しては、答えが出てくるまで、あと三秒待つ。間違えたときに、もう一度聞き直す。ちょっと難しい問題を、あの子ならいけるかな、と渡してみる。

ひとつひとつは、本当に小さいことです。ですが、毎日それをやられた側は、自分はできる側の人間なんだな、と思うようになります。

逆に、この子は無理だろう、と思っていると、待たなくなります。答えが出る前に、こちらが言ってしまう。難しいものは渡さない。

言葉では、頑張れ、と言っているんですよね。でも、渡している仕事のほうが、それを裏切っている。

人は、言われたことよりも、渡されたもののほうを信じます。

扱われ方に、こちらが合わせにいく

これは大人でも同じだと思います。

お店に行って、これ初めて買うんですけど、と言うと、店員さんの説明が変わりますよね。ゆっくりになったり、基本から話してくれたりする。逆に、詳しそうな人だな、と思われると、説明が飛びます。ご存じだと思いますけど、と言われる。

そのとき、こちらも合わせるんですよね。詳しい人として扱われると、詳しい人のような顔をしてしまう。

車の運転もそうです。譲ってくれそうな車には、こちらも譲る。強引に来る車には、こちらも詰める。

相手の見方に、こちらが合わせにいく。人は、けっこうそういうことをしています。

社内で、いちばん出る

ここからが仕事の話です。僕はこれが、社内でいちばん出るところだと思っています。

この人は仕事ができる、と思っている相手には、大きい仕事を渡します。判断も任せます。任された人は、任された分だけ考えるので、実際に伸びます。

反対に、この人はまだかな、と思っていると、細かく確認します。確認される側は、確認される前提で仕事をするようになります。自分で決めなくなるんですよね。

そして、決めなくなった様子を見て、こちらは、やっぱりまだかな、と思ってしまう。

一周して、最初の見方が正しかったことになるんです。自分で作った結果を、自分で証拠にしてしまう。

ですから、期待してるよ、という言葉には、あまり意味がないんだと思います。大事なのは、その言葉のあとで、何を渡しているかです。

期待は、そのままだとプレッシャーになる

ひとつ、気をつけていることがあります。

期待は、そのままだとプレッシャーになります。君ならできる、絶対いける、と言われると、うれしいのは最初だけで、だんだん、失敗できないな、となっていきます。逃げ場がなくなるんですよね。

ですから、渡すときに、後ろも一緒に渡すようにしています。

これは任せます。うまくいかなかったら、そのときは一緒に考えます。そういう形です。

できると思っているから任せる。ただし、失敗しても終わりじゃない。この二つが揃って、初めて動きやすくなるんじゃないかと思っています。

会社がお客様をどう見ているかは、サイトの言葉に出る

ここからが、僕らの仕事に直接つながる話です。

同じことが、お客様に対しても起きます。会社がお客様をどう見ているかは、ホームページの言葉にはっきり出ます。

詳しく書いても分からないだろう、と思っている会社のサイトは、説明が簡素になります。というより、消えます。とにかく、お任せください。安心です。実績があります。それで終わってしまう。

一方で、この人は自分で調べる、この人は自分で選べる、と思って書かれたサイトには、材料が出てきます。うちが得意なのはここです。逆に、ここには向いていません。値段の根拠も書いてある。

読んだ側は、その差を感じ取ります。子ども扱いされたのか、ちゃんと相手にされたのか。

そして、ちゃんと相手にされた、と感じた方は、自分で決めていきます。自分で決めた方は、あとから文句をおっしゃいません。自分で選んだからです。

うちは、判断を代わりにやってあげる会社にはならない、と決めています。答えを渡すのではなく、その方が自分で決められる材料を渡す。

これは、ピグマリオン効果の話とまったく同じだと思っています。この人は決められる人だ、という見方が先にあって、そこから言葉が決まっているので。

「面倒な人」は、こちらが作っていることがある

もうひとつ、少し怖い話を書きます。

お客様から強めの言い方でご連絡が来ることがあります。そのときに、この人は面倒だな、と思ってしまうことがある。

そう思って対応すると、まずこちらの返事が短くなります。守りに入るので、説明が事務的になる。受け取った側は、雑に扱われた、と感じます。それでもっと強い言い方になる。こちらは、ほら、やっぱりそういう人だ、と思ってしまう。

これも一周しているんですよね。最初にこちらが決めた見方が、そのとおりの相手を作ってしまっている。

たいていの場合、強い言い方をされる方は、困っているだけです。困っている人として扱えば、困っている人として話してくださいます。同じ相手なのに、こちらの見方ひとつで別の人になる。

採用の面接でも、同じことが起きます。書類を見た時点でいいな、と思った方には、いいところが出るような質問をします。うまく答えられなくても、緊張しているだけかな、と受け取る。反対に、うーん、と思った方には、確認の質問が増える。同じ答えを聞いても、引っかかるほうを拾ってしまう。

同じ人が面接官によって別の評価になるのは、半分くらいこれではないかと思っています。

演技ではなく、見方を変えるほう

最後にひとつだけ。これも技として使おうとすると、たぶん効きません。

思ってもいないのに、期待しているふりをする。それは態度のほうに出ます。人は、言葉より態度を見ているので。

ですから、やることは演技ではなくて、見方を変えるほうだと思います。

それから、これは自分自身にも起きます。自分は人前で話すのが苦手、と思っている人は、話す機会を避けます。避けるので、うまくならない。うまくならないので、やっぱり苦手、となる。先生が生徒にやっていたことを、自分で自分にやっているわけです。

では、明日から自分は得意だと思い込めるかというと、それはなかなか難しいと思います。思い込みは、そんなに簡単に書き換わりません。

現実的なのは、自分をいいほうに見てくれる人を、一人だけ近くに置いておくことじゃないかと思っています。自分では大したことないと思っている作業を、それすごいですね、と言ってくれる人。その一言があると、渡される仕事が変わってきます。渡される仕事が変われば、自分の見方も後からついてきます。

まとめ

人は、周りが自分をどう見ているかに沿って動いています。良いほうにも、悪いほうにも。

そして、その見方は、言葉ではなく、待つ時間と、渡す仕事の大きさで伝わっていきます。社内でも、お客様に対しても、同じことが起きています。

もし、この人はここまでかな、と思っている相手がいたら。その判断は、こちらの接し方が作ったものかもしれません。

明日、その方に、いつもより少しだけ大きいことを渡してみると、見え方が変わることがあると思います。

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