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ブランディング 2026.08.02

ひとりで抱えないほうが、いい仕事になる

WRITER
Nakamura Hiroki クリエイティブディレクター / 代表取締役
Nakamura Hiroki

クリエイティブディレクター / 代表取締役。ブランドマネージャー1級/インターナルブランディング認定コンサルタント/WEBデザイン技能士/WEBマーケティング検定/ネットショップ実務士。

ひとりで抱えないほうが、いい仕事になる
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こんにちは、アプリコットデザインの中村です。今日は、正直に言うと、自分にいちばん言い聞かせたい話を書きます。「ひとりで抱えないほうが、いい仕事になる」。僕はどちらかというと、なんでも自分でやろうとしてしまうタイプなので、これは自戒でもあります。

人に頼むのは、なんで難しいのか

人に頼むより、自分でやったほうが早いし、確実だし、気もラク。そう思って、気づいたら全部抱えている。同じような方、けっこういるんじゃないかと思います。

頼むのが難しい理由は、いくつかあります。一つは「自分でやったほうが早い」。短い目で見ると、これは本当です。説明もいらないし、やり直しも出ない。でも長い目で見ると、これがいちばん危ない。全部自分を通さないと進まない状態は、その人がいなくなった瞬間に止まります。強くなっているようで、実はいちばん脆い。

もう一つは「頼むのが申し訳ない」。優しさから来ているのですが、裏を返すと「自分がやったほうが波風立たない」という、ちょっとした逃げでもあります。そして三つ目、たぶんいちばん大きいのが「任せると、思い通りにならない」。人に頼むと、自分とは違うものが返ってくる。それが怖くて、つい口を出したくなる。結局、任せたはずなのに負担は減っていない、ということになります。

「自分と違う」は、悪いことじゃない

でも最近すごく思うのは、「自分と違う」は、悪いことじゃないんですよね。自分ひとりの頭で考えられることは、実はけっこう限られています。同じ人間が考えると、同じような答えにたどり着く。でも人に渡すと、自分では思いつかなかった角度から返ってくる。抱えているときには絶対に出てこなかったものが、手放した瞬間に出てくる。

これは、僕らの仕事でも本当によく起きます。最初から最後まで一人で仕上げたものより、途中で誰かに見てもらったもののほうが、たいてい良くなる。作っている本人は中身を全部知っているので、多少言葉が足りなくても、頭の中で補って読めてしまう。でも、初めて見る人はそうはいかない。この「初めて見る人の目」は、自分の中からはどうやっても出てこない。だから人に渡すというのは、その目を借りることでもあります。一人で完璧を目指すより、途中で誰かの目を通したほうが、ずっと早く、いいところに着きます。

丸投げと、任せることは違う

とはいえ、「じゃあ全部任せましょう」という話でもありません。丸投げと、任せることは違います。丸投げは、こちらが何を大事にしているかを伝えないまま、ぽんと渡してしまうこと。これだと、返ってきたものを見て「思ってたのと違う」となって、やり直しになる。それで「やっぱり自分でやったほうが早い」に戻ってしまう。この悪循環に、僕も何度もはまってきました。

任せるというのは、「何を大事にしてほしいか」だけは渡して、やり方は相手に委ねること。ゴールのイメージは共有するけれど、そこへの行き方は口を出しすぎない。このさじ加減が、いちばん難しいところです。僕らがお客様とお仕事をするときも、実はこれと同じで、最初にその会社が何を大事にしているかを一緒に言葉にします。そこさえ共有できていれば、細かいところは、その会社の人が自分たちで判断して進められる。ぜんぶこちらが決めてあげるのが、いい仕事だとは思っていません。

任せてもらえないと、人は育たない

頼まれた側の話も、少し考えてみたいんです。自分が抱え込んでいるとき、僕らはよく「相手も忙しいから」と言います。でも立場を逆にすると、「これ、あなたにお願いしたいんです」と言われるのは、案外、悪い気はしない。頼られるって、信頼されているということでもあるので。

それに、任せてもらえないと、人は育ちません。いつも横で全部やられてしまうと、経験する機会そのものがない。最初は時間がかかっても、失敗も込みで経験してもらう。そうやってはじめて、次からは自分でできるようになる。抱え込むというのは、実は、周りから成長のチャンスを奪ってしまっていることでもあります。ここは、僕自身けっこう反省するところです。

頼るのは、弱さじゃない

もう一つ大事だと思っているのは、頼るのは弱さじゃない、ということです。人に頼らず全部できる人が強い、みたいなイメージがありますよね。でも、本当に強い人は、頼るのがうまい人だなと最近は思います。自分にできないことを「これはお願いします」と言える。それは自分の限界を認めることでもあって、案外、勇気がいります。全部抱えてパンクするより、早めに「手伝ってほしい」と言えるほうが、結果的にみんながラクになる。僕もこれが苦手で、今も練習中です。

抱え込んでいるときって、自分ではなかなか気づけません。気づいたら、机の上も頭の中もいっぱいになっている。そういうときこそ、一回、これ本当に自分じゃないとできないことなんだっけ、と周りを見てみる。意外と、そうじゃないことがたくさんまざっています。一つでも手放せると、ふっと肩が軽くなって、空いたところに、本当に自分がやるべきことが入ってくる。

もしよかったら、この一週間で「自分がやらなきゃ」と抱えていることを、一つ思い浮かべてみてください。それ、本当に全部自分でやらないといけないことでしょうか。頼むのは申し訳ない、ではなくて、頼ることで相手を信じている、と受け取ってみる。ひとりで抱えないほうが、たぶんいいものになるし、自分も少しラクになります。

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