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ブランディング 2026.07.19

伝わらないのは、話し方のせいじゃない

WRITER
Nakamura Hiroki クリエイティブディレクター / 代表取締役
Nakamura Hiroki

クリエイティブディレクター / 代表取締役。ブランドマネージャー1級/インターナルブランディング認定コンサルタント/WEBデザイン技能士/WEBマーケティング検定/ネットショップ実務士。

伝わらないのは、話し方のせいじゃない
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こんにちは、アプリコットデザインの中村です。

ブランディングの仕事をしていると、「うちの良さが、なかなか伝わらない」というご相談をよくいただきます。いいものを作っている。まじめにやっている。それなのに、思うように伝わらない。今日は、その「伝わらない」がどこから来るのか、という話を、僕らの仕事の視点から書いてみます。

結論から言うと、伝わるかどうかは、伝え方のうまさよりも、その手前でほとんど決まっている、というのが僕の実感です。手前にあるのは、二つの理解です。ひとつは、自分たちの理解。もうひとつは、相手の理解。ブランディングは、突き詰めると、この二つをつなぐ仕事なんです。

自分たちが、本当は何を伝えたいのか

まず、自分たちの理解。自分たちは本当のところ、何を大事にしていて、何を伝えたいのか。これが定まっているか、ということです。

当たり前のようで、意外とはっきりしていないことが多いんですよね。会社案内やホームページに載っている言葉が、どこかで見たような、当たり障りのないものになってしまう。それは表現が下手なのではなくて、その手前で、自分たちがいちばん伝えたい一点が定まっていないことが多いんです。芯がぼんやりしたまま言葉を並べると、受け取る側にも、ぼんやりとしか届きません。

だから僕らがブランディングで最初にやるのは、きれいな言葉を探すことではなくて、「自分たちは本当は何を大事にしているのか」を、いっしょに掘り起こしていくことです。ここがはっきりすると、使う言葉は自然と絞られてきます。逆にここがあいまいなまま、あれもこれもと盛り込むと、結局、何も伝わらないブランドになってしまう。伝わる力の半分は、この自分たちの理解でできています。

もう半分は、届けたい相手を理解すること

そしてもう半分が、相手の理解です。届けたい相手がどういう人で、何を大事にしていて、どんな言葉なら受け取れるのか。それが分かっている、ということ。

同じことを伝えるにしても、相手が変われば、響く言葉はまるで変わります。自分たちの言いたいことを、自分たちの言葉で一方的に発信しているだけだと、相手の世界にはなかなか入っていきません。相手がいま何を知っていて、何に困っていて、どんな言葉づかいをする人なのか。その人の側に立って、その人が受け取れるかたちに翻訳する。相手を深く理解しているほど、伝えたいことは、するっと届く言葉になります。

ブランディングがうまくいかないときは、たいてい、このどちらかが欠けています。自分たちの言いたいことだけを大きな声で叫んでいると、独りよがりになる。かといって、相手に合わせすぎると、今度は自分たちらしさが消えて、他と同じになってしまう。自分たちの理解と、相手の理解。その両方があって、はじめて「伝わるブランド」になるんです。

伝わらないとき、まず「聞く」に戻る

相手を理解するために僕らがやっていることは、実はとてもシンプルで、「聞く」ということです。ご提案をいきなり並べるのではなく、まず、その会社の人が何を大事にしているのか、どんな言葉で自分たちのことを語るのかを、ずっと聞いています。打ち合わせでも、こちらが話している時間より、お客様の話を聞いている時間のほうが長いくらいです。

伝わらないと、つい「もっと説明を足そう」「もっと言葉を尽くそう」と、発信を増やしたくなります。でも本当に効くのは、逆のことも多いんです。いったん発信の手を止めて、相手のことを聞いてみる。相手が見えてくると、次にどう言えばいいかが見えてきます。

伝わらない理由を、市場や相手のせいにしている間は、たぶん次も同じことが起きます。でも、自分たちの理解と相手の理解という、自分たちの側から動かせるところに目を向けると、伝え方は変えていける。遠回りに見えて、これがいちばんの近道だと、僕らは思っています。

もし、自分たちの良さがうまく伝わっていないと感じることがあったら、表現やデザインを直す前に、この二つを見直してみてください。まずは、社内で「うちが本当に大事にしている一点は何か」を、あらためて言葉にしてみる。そこがそろうと、次に、相手の何を聞けばいいのかも見えてきます。自分たちは本当は何を伝えたいのか。そして、届けたい相手はそれをどう受け取るのか。この二つがはっきりしてくると、使うべき言葉は、自然と決まってきます。

今日より明日が、ちょっと楽しくなりますように。

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