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デザインのこと 2026.07.01

AIがデザインを作れる時代に、それでもデザイナーが必要な理由を現役デザイナーに聞いてみた

WRITER
Nakamura Hiroki クリエイティブディレクター / 代表取締役
Nakamura Hiroki

クリエイティブディレクター / 代表取締役。ブランドマネージャー1級/インターナルブランディング認定コンサルタント/WEBデザイン技能士/WEBマーケティング検定/ネットショップ実務士。

AIがデザインを作れる時代に、それでもデザイナーが必要な理由を現役デザイナーに聞いてみた

AIがデザインを作る時代に、人は何を考えるのか。

「現役デザイナーが語る、人にしかできない仕事」

AIが画像を作り、ロゴを作り、デザインのアイデアまで提案してくれる時代になりました。

「デザイナーの仕事はAIに置き換わるのではないか」

そんな声を耳にする機会も増えています。

しかし実際にデザインの現場で働く人たちは、この変化をどう受け止めているのでしょうか。

AIは本当にデザイナーの代わりになるのか。
そして、これからの時代に求められるデザイナーの役割とは何なのか。

今回はアプリコットデザインで活躍するデザイナーに、
AIとの向き合い方や、これからのデザインについて話を聞いてみました。

AI時代だからこそ見えてきた、デザイナーという仕事の本質に迫ります。

(インタビュー:アプリコットデザイン情報発信部)


── AIを実際の業務や個人制作で活用したことはありますか?


デザイナースタッフからは、「活用している」という声が寄せられました。
ただし、共通していたのは、AIがデザインそのものを作るためではなく、アイデアを広げたり、考えを整理したりするための補助ツールとして活用しているという点です。

スタッフ

回答

「生成画像をそのままデザインに使うことはあまりありません。アイデア出しやリサーチ、キャッチコピーの案出し、お客様からいただいた箇条書きを文章にまとめるときなどに活用しています。」

「デザインの案出しや、自分のデザインを客観的に見直してブラッシュアップするために使っています。」

── AIが作ったデザインを見て「ここはすごいな」と思うところはありますか?

スタッフ

回答

「作成した形状を見せて『この形状を用いて木を作って』といった指示をすると、かなりバランスの良いイラストを作ってくれます。自分で調整しようと思うと時間がかかるので、短時間でそこまで形にできるのはすごいと思います。」

「自分では考え付かなかった細かいディテールを提案してくれるところです。」

── 逆に「ここはまだ人間じゃないと難しいな」と感じる部分はありますか?

スタッフ

回答

「お客様自身も気づいていない本音や要望を読み解くこと。会話の中でしか引き出せない部分もあると思います。」

「AIが作る構成やデザインは説明が多く、くどいなと感じます。情報整理は人間がしっかりするべきだと思います。」

「0から考える仕事や、情報を整理して伝わりやすくまとめるようなチラシ制作などは、まだAIには難しいと感じます。」

── 制作を始める前に、一番時間をかけているのはどの工程ですか?

スタッフ

回答

「誰に向けて作るのか、なぜ作るのかなど、制作前の情報整理を大切にしています。」

「その業界らしいデザインを調査したり、どんなものに着地させるかを考えるところに一番時間をかけています。」

── AIは「言われたものを作る」のが得意ですが、デザイナーはどんな役割を担っていると思いますか?

スタッフ

回答

「本当に解決すべき課題や本音を探し出すこと。お客様の好みだけではなく、その先のお客様にしっかり伝わるデザインを提案することが大切だと思います。」

「AIはとても便利なツールですが、『何を作るべきか』までは教えてくれません。誰に向けて、何を伝え、どんな行動につなげたいのか。その設計図を描くのは人間の役割だと思います。だからこそ、AIに答えを求め続けるのではなく、自分の中にある仮説や完成像をもとにAIを活用することが大切だと感じています。私はデザインを作る人である前に、お客様の想いや課題を整理し、進むべき方向を一緒に見つける人でありたいと思っています。」

── お客様自身も気づいていない課題を見つけることはありますか?もしあれば印象に残っているエピソードを教えてください。

スタッフ

回答

「『なんでもいいので、お任せでいい感じで』というご依頼は、意外とお客様なりの理想を持っていることが多く、このタイプのご依頼が一番リテイクが多いです。」

── デザインを考える際、「誰に届けるか」はどれくらい重要だと思いますか?

スタッフ

回答

「届けたい層にどんな言葉やテイストが響くのかを考えないと、そもそもデザインの方向性が固まりません。」

「私は、『みんなに向けたもの』は、ときどき『誰にも向けていないもの』になってしまうと思っています。もちろん多くの人に届くことは大切です。でも本当に心を動かすのは、『これは私のために作られたんだ』と感じる瞬間ではないでしょうか。
デザインに目はありません。それでも、不思議と目と目が合うようなデザインがあります。それはきっと、作り手が届けたい相手をちゃんと思い浮かべているから。誰に見てもらうのか。どんな気持ちになってほしいのか。どんな言葉なら届くのか。そんなことを考えながら作られたデザインには、ただ綺麗なだけではない温度が宿る気がしています。」

── 5年後、デザイナーの仕事はどう変わると思いますか?

スタッフ

回答

「制作そのものの効率化が進み、単純に手を動かす時間は減ると思いますが、その分コミュニケーションに使う時間が増えると思います。また、『手しごと感』のような、人の手で作る温かみのあるデザインの需要も、逆に高まるのではないかなと思っています。」

「AIによって、誰でもある程度のデザインが作れるようになりました。でも、だからといってAIと戦おうとは思いません。AIに仕事を取られるかどうかを気にするよりも、AIを自分の武器として使えるようになる方が大事だと思っています。新しい道具が増えたなら、それを使いこなせる人になりたい。AIを活用しながら、自分にしかできない考え方や提案、デザインの価値を磨いていきたいです。これからは『AIか人か』ではなく、『AIを活かせる人かどうか』が問われる時代なのかもしれません。」

── それでも人間のデザイナーが必要だと思う理由があれば教えてください。

スタッフ

回答

「AIにはできないコミュニケーションや関係構築があります。また、おそらくAIには出せないデザインの味のようなものも、一部の層には需要があると思います。」

「AIが作ったものを見て『なんか違うな』と言えるのも人間なんですよね。AIは答えらしいものをたくさん出してくれますが、その中から本当に伝わるものを選ぶのは人の感覚です。正解を求めて延々とプロンプトを投げることよりも、『これだ』と自分で判断することの方がずっと大切だと思っています。
それに、本当に何もないところから意味や想いを組み立てて形にできるのも人間です。AIは優秀な相棒だけれど、最後に舵を握っているのは人。デザインの価値は、ツールではなく、その先にいる人の考えや判断にあるのだと思います。」

── これからデザインを依頼しようとしている方へメッセージをお願いします。

スタッフ

回答

「『なんかいい感じ!』なデザインはAIでも出せるようになってきましたが、『なんか』の部分、つまりデザインの理由や背景を言語化できるのがデザイナーの強みだと思います。課題や想いを会話の中で深掘りしながら、意味のあるデザインを一緒に作っていければと思います。」

「AIを使っているから手抜きだとか、価値が低いということではないと思います。AIが出したものをそのまま使うのではなく、そこには必ずデザイナーの目や言葉、経験や判断が入っています。むしろAIは、自分ひとりでは届かなかったアイデアや表現に手を伸ばせる道具です。私はAIによって仕事の価値が下がったのではなく、デザイナーとして今までより一段上の景色が見られるようになったと感じています。」


今回のインタビューを通して印象的だったのは、誰一人として「AIがデザイナーの代わりになる」と考えていなかったことです。

デザイナースタッフはAIを便利なツールとして活用しながらも、それはあくまでアイデアを広げたり、考えを整理したりするための補助的な役割でした。AIが出したものをそのまま採用するのではなく、お客様の課題や目的に照らし合わせながら、本当に伝わる表現なのかを考え、選び、磨き上げる。その工程には、デザイナーの経験や判断が欠かせません。

また、多くのスタッフが共通して挙げていたのは、「誰に届けるのか」を考えることの大切さでした。

お客様自身も気づいていない課題を引き出し、言葉にならない想いを整理し、その先にいる人に届くデザインを考えること。デザインを作る前の対話や情報整理こそが、人にしかできない仕事なのだと感じました。

AIによって、デザイン制作の効率はこれからさらに上がっていくでしょう。しかし、それはデザイナーの価値が下がることを意味するわけではありません。

むしろ、「何を作るべきか」「なぜこのデザインなのか」を考え、AIを使いこなしながら最適な答えへ導いていく力が、これまで以上に求められる時代になっていくのではないでしょうか。

今回のインタビューを通して見えてきたのは、「AIがデザイナーに代わる未来」ではなく、「AIを使いこなしながら、人にしかできない価値を磨き続けるデザイナー」の姿でした。

これからデザインをご依頼いただく際には、完成したデザインだけでなく、その背景にある「なぜこのデザインなのか」という考え方にも、ぜひ注目していただけたら嬉しく思います。

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