「情報発信室のメモ帳」とは
情報発信室のメモ帳は、情報発信の仕事をする中で見つけた小さな気づきや違和感を綴る連載です。
ブログやSNS、YouTubeの運用を通して考えたことを、メモのように残しています。
はじめに
ブログの記事を、あなたは何をもって「人気記事」だと判断するだろうか。
おそらく、一番わかりやすい指標はアクセス数だ。
アクセス解析を見て、PVが多い記事ほど「人気のある記事」と判断するのではないだろうか。
例えば、アプリコットマガジンをPV数の多い記事で並べると、上位にくるのはノウハウ系の記事だ。
「こうすると伝わりやすい」
「こうすると集客につながる」
「こうすると改善できる」
検索されやすく、必要としている人に届きやすい記事として、ノウハウ系記事はわかりやすいし納得する。
では、これをそのまま人気記事と呼んでしまっていいのだろうか。
――ここに、”人気記事”という言葉の落とし穴があった。
アクセス数の多い記事は、本当に人気記事なのか
アクセス数が多い記事は、多くの人が求めている情報である。これは間違いないだろう。
検索という行動そのものが、「知りたい」「解決したい」という意思の表れだからだ。実際、アプリコットマガジンでもPV数の多い記事を見てみると、上位にはノウハウ系の記事が並ぶ。「こうすると伝わりやすい」「こうすると集客につながる」「こうすると改善できる」。多くの人が悩み、その答えを探しているテーマほどアクセスは集まりやすい。
しかし、それをそのまま「人気記事」と呼んでしまっていいのだろうか。そう考えたきっかけは、記事の流入経路を見ていた時だった。
たとえば検索から流入している記事の場合、その読者は必ずしもアプリコットマガジンに興味があって訪れたわけではない。たまたま検索結果に表示され、その記事の中にある答えを求めてやってきた人だ。もちろん、それ自体は悪いことではない。むしろ検索記事としては理想的な役割を果たしていると言えるだろう。読者の悩みに応え、必要な情報を届けることは、情報発信として大切な価値だからだ。
ただ、その読者が記事を読み終えたあとに「他の記事も読んでみよう」と思うかというと、また別の話である。求めていた答えを見つければ、多くの場合そこで目的は達成される。記事を閉じて終わりになることも少なくないだろう。その記事は役に立ったかもしれないが、アプリコットマガジンそのものに興味を持ったわけではない。
平均エンゲージメント時間から見えたもの
一方で、別の指標から記事を見てみると、少し違った景色が見えてくる。平均エンゲージメント時間だ。
どの記事が長く読まれているのかを見てみると、必ずしもノウハウ記事ばかりが上位に並ぶわけではなかった。むしろ仕事に対する考え方や価値観、経験談や個人的な想いが書かれた記事の方が、じっくり読まれていることが多かったのである。
平均エンゲージメント時間の長い記事を見ていると、ある共通点があった。それは、仕事のノウハウを解説する記事よりも、書き手自身の考え方や価値観、経験が語られている記事が多かったことだ。仕事で何を大切にしているのか、なぜその考えに至ったのか、どんな失敗をしてそこから何を学んだのか。そうした「その人らしさ」が見える記事ほど、じっくり読まれている傾向があった。
もちろん、これはノウハウ記事に価値がないという話ではない。実際、多くのアクセスを集めているのはノウハウ記事であり、新しい読者と出会う入口として重要な役割を果たしている。ただ、読者が長く滞在し、他の記事にも興味を持って読み進めているのは、必ずしもそうした記事ばかりではなかった。
人気記事の正体
考えてみると、読者は情報だけではなく、その情報を発信している人にも興味を持っているのかもしれない。ノウハウ記事を読んでいる時、人は答えを探している。しかし価値観や経験を書いた記事を読んでいる時、人はその人自身を知ろうとしている。「なぜそう考えるのか」「どんなことを大切にしているのか」「どんな失敗をしてきたのか」。そうした部分に触れた時、読者は初めて情報ではなく人に興味を持つ。
会社のブログを育てたいと考えた時、本当に大切なのはどちらなのだろう。
もちろん、ユーザーに役立つ情報の発信として、また、新しい読者と出会うためにも、ノウハウ記事は今後も必要だ。検索から人を呼び込み、まだ会社を知らない人に存在を知ってもらう役割としては、ノウハウ記事はその役割も大きい。しかし、ブログそのものを好きになってもらうことや、「この会社の考え方は面白いな」と感じてもらうことを考えるなら、価値観や経験が見える記事の役割も決して小さくない。
アクセス数が多い記事は、多くの人に求められている記事である。けれど、会社のブログにとっての人気記事とは、単にアクセスが多い記事ではなく、その会社やそこにいる人たちに興味を持ってもらえる記事なのかもしれない。
特に最近は、検索結果にAIによる要約が表示されることも増えてきた。単純なノウハウや手順だけであれば、記事を開かなくても答えにたどり着ける場面もある。だからこそ、「なぜそう考えるのか」「どんな経験からその結論に至ったのか」といった、その人や会社ならではの視点は、これからますます価値を持つのかもしれない。
そう考えると、「人気記事」とは単にアクセス数の多い記事ではなく、その人や会社に興味を持つきっかけになる記事なのだろうか。
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