うまく進んでいく事業には、共通して「指針」がある、ということです。
ここでは、tone villageを立ち上げるなかで気づいたことを、これから新規事業を始める方に向けて、なるべく平易な言葉で書き直しました。
tone village 立ち上げから学んだこと
きっかけは、事務所移転の話でした。ずっと良い土地を探していて、ある日、銀行からの紹介で200坪の土地に出会います。ロケーションも広さもよく、事務所だけにするには大きすぎました。
そのとき、以前から温めていたアイデアを思い出しました。トリミングサロン、ネイルサロン、カフェ、スクールが集まる、複合施設をつくる。それまでは「夢」だった構想が、ぐっと現実に近づいた瞬間でした。
ここからは、自分たちにとっても新しい挑戦です。同時に、「なぜデザイン会社がこれをやるのか」を、外に向けて説明できる必要がありました。建物が形になる前に、コンセプトと言葉から先に決めていきました。
軸にしたのは、もともと自分たちがブランディングで大切にしてきた考え方です。
「色を見つけ、色を輝かせ、色を磨き続ける」。
ブランディングで色を見つけ、デザインで色を輝かせ、一貫して伝え続けることで、色を磨き続けていく。この考えを、施設の名前にもつなげたいと思いました。
「TONE」には、色を調合する、調子を整えるという意味があります。そこに、街と村が交わるような場所を目指して「ビレッジ」を組み合わせ、「tone village」と名付けました。
キャッチフレーズは、「それぞれのらしさ溢れる日常を」。訪れた人が、自分に納得した日常を取り戻せる場所にしたい、と考えました。カフェ、トリミングサロン、ネイルサロン、スクール。それぞれの店舗にも、一貫した考え方を通しました。
新規事業を進めるうえで、大切にしてほしい4つの考え方
1. コンセプトを最初に決める
その事業をやる社会的な意義と、自分たちの色を、できるだけ早く言葉にします。装飾としてではありません。迷ったときに、戻れる場所として用意しておく、というイメージです。
2. 金太郎飴のような一貫性をつくる
自社の価値観、施設、各店舗、サービス、発信。どこを切っても、同じ絵柄が出てくる状態を目指します。一貫性は、見た人の安心感につながります。逆に、ばらばらだと「結局、何を大事にしている会社なのか」が伝わりません。
3. 採用と集客は、開業前から動かす
開業準備とは別の動きとして、半年前くらいから少しずつ始めます。tone villageの場合、写真もメニューもまだ揃っていない段階で、仮のホームページを公開しました。Instagramでも、進捗や考えを発信しました。結果として、オープン月のアクセスは1万件を超えました。特別なことをしたわけではなく、早めに動いた、というのが正直なところです。
4. 共感する人を集める
条件だけで人を募ると、ぶれやすくなります。「業界を変えたい」「こうあってほしい」という意思を掲げると、共感した人が集まってきます。tone villageのトリミングサロンでは、「わんちゃんファーストのサロン」というコンセプトを先に出しました。そこに共感した方が、今のスタッフです。コンセプトが、人の心を動かす力を持っていることを、実感した出来事でした。
立ち上げ期によくある、つまずき
- 開業準備で頭がいっぱいになり、集客の準備が後回しになる
- 想いはあるのに、外向きの言葉になっていない
- メンバーごとに、ビジョンの解釈が少しずつずれる
- 開業直後、認知がすぐには広がらず、不安が大きくなる
どれも、誰にでも起こり得ることだと思います。
うまく進む人とそうでない人の違いは、才能ではなく、これらに「先に手を打てるかどうか」だと感じています。
「自分らしさ」は、
今の自分に納得していること。
キーフレーズの背景|言葉に込めたこと
私たちが大切にしている言葉が、いくつかあります。意味だけ取り出すより、背景ごとお伝えしたいので、自然に紹介します。
10年前のパンフレットに、「LIFE&WORK DESIGN COMPANY」と書いてありました。当時の自分たちは、生活と仕事という人生全体をデザインしたかったようです。その後、理念は「シアワセをデザインする」に変わりましたが、根っこにある気持ちは同じだと思っています。
ブランディングでは、「色を見つけ、色を輝かせ、色を磨き続ける」という考え方を軸にしてきました。これを個人に置き換えたとき、自分の色を見つけ、輝かせ、磨き続けられたら、社会は少しよくなるのではないか、と考えました。そこから、tone villageの「それぞれのらしさ溢れる日常を」というキャッチフレーズが生まれています。
「自分らしさ」という言葉は、抽象的で人によって解釈が違います。私たちは、自分らしさを「今の自分に納得していること」だと考えています。もう少しシンプルに言えば、仕事を仕事として頑張るのではなく、遊びの延長のように夢中になれる状態です。新規事業を始める方の中にも、そういう状態を仲間と一緒につくっていきたい、という方が多い気がしています。
そして、これらすべてに通底させたいのが、「金太郎飴のような一貫性」です。理念、コンセプト、サービス、発信。どこを切っても同じ絵柄が出てくる。そういう状態を目指したい、という意味で、よく使う言葉です。
アプリコットデザインだから、言えること
立ち上げ期の不安や、想いと現実のギャップは、外から見るより重いものです。
「どうせ大丈夫」と簡単には言えません。
私たちは、自分たちでも店舗・施設を立ち上げ、運営しています。集客で迷ったこと、採用がうまくいかなかったこと、開業直前のひやひやした時間。机上の知識ではなく、経験した側の言葉でお話できると思います。
自慢ではありません。
立ち上げ期の気持ちを共有しやすい、という意味で、ご相談いただきやすい立場かもしれない、ということです。