こんにちは、アプリコットデザインの中村です。
今日は「宣言効果」という言葉をきっかけに、お客様の声やインタビューのことを、少し違う角度から書いてみたいと思います。
僕らはお客さんのブランド支援をさせていただく中で、そのお客さんの、さらに先にいるお客様、つまりクライアントさんのエンドユーザーの方に、感想をインタビューさせていただく機会がたびたびあります。正直に打ち明けると、最初のころ僕は、このインタビューを半分くらい「価値を発信するためのネタ」だと思っていました。良い声をいただけたら、次の発信に使える。ありがたいな、くらいの気持ちでした。
けれど、何度かインタビューを重ねるうちに、その見方は変わっていきました。
インタビューに答えてくださったお客様が、そのあと、とても生き生きした様子になることが少なくなかったんです。はじめは不思議でした。でも、たぶんこういうことなんだと思います。たとえば、そのお客様が少し高い買い物をしたとします。その感想を、自分の言葉で、自分で口に出して話す。すると、「自分はやっぱりこれで良かったんだ、この選択をして良かったんだ」という納得感や確信に変わっていく。言ってみれば、自分の選択を、自分の言葉であらためて肯定できる。インタビューのあとに生き生きして見えたのは、そういうことなのかなと思いました。
それで、思ったんです。これは、お客様が僕らのために答えてくれているだけじゃなくて、語ること自体が、そのお客様のためにもなっているんじゃないか、と。
なぜこんなことが起きるのか。僕なりに腑に落ちた言葉が「言葉は人を作る」でした。人は、自分が口に出した言葉のほうに、あとから行動を寄せていくところがあると思います。「自分はこういうことを大事にしている」と一度言葉にすると、その言葉に合うように、振る舞いが自然と揃っていく。宣言が行動になり、それがやがて、その人らしさとして定着していく。そういう順番があるように感じています。
心理学の世界でも、目標は心の中で思っているだけより、誰かに公言したほうが達成しやすくなる傾向がある、と言われたりします。もちろん、言えば必ず叶うという魔法ではありませんし、そんなに単純な話でもないと思います。ただ、僕自身の実感としても、これはたしかにあるなと感じています。
逆側のことも起きます。「どうせできない」「うちなんて」と口に出していると、本当にそちらに寄っていってしまう。これも、言葉が人を作る、の裏側なのだと思います。口ぐせは、あなどれません。
この視点は、身近な目標にも使えます。「本を月に一冊読む」でも「毎朝すこし散歩する」でも、心の中に置いておくだけだと、正直けっこうすぐに溶けてなくなります。僕も何度もやっています。でも、家族にひとこと言ってみる、ノートに一行書いておく、SNSにそっと書いてみる。少しだけ外に出しておくだけで、続き方が変わることがあります。意志が強い弱いの話というより、言葉を先に置くと、行動があとからついてくる、という順番の話なのだと思います。
そして仕事のほうでも、同じことが起きています。お客さんに口コミやお客様の声で「うちはこういう会社です」と語ってもらうことは、僕らにとってありがたいだけでなく、語ってくださったお客さん自身が、自分たちの価値をあらためて言葉にして、自分で信じられるようになるきっかけになっている。だから僕らは、「声をください」とお願いするよりも、お客さんが自分の言葉で語れる場を、自然な流れで、そっと用意しておくことのほうを大切にしたいと感じています。
僕らはよく「作るだけでは意味がない」と言います。作って納品して終わり、ではなく、その人が自分の言葉で自分たちのことを語れて、価値に気づいて、前に進んでいける。そこまで含めて支援したい、育てていきたいと思っています。お客さんに語ってもらうことは、きっとその一部なのだと思います。
言葉が人を作るのだとしたら、言葉って本当に大事だな、とあらためて思います。日本語はニュアンスが難しいとよく言われますが、一語一句違うだけで、伝わる意味が変わってしまう。それだけ、一文字一文字の重さがあるということだと思います。そして、普段自分が使っている言葉も、自分自身を形づくる一部なのだと考えると、言葉の使い方には気をつけたいなと思うのです。
裏を返せば、その言葉の使い方を、自分にとっていいほうに使うこともできます。思っているだけで終わらせずに、言葉にする。まずは言葉を整理して、そっと宣言してみる。それだけで、明日の自分が少し変わるかもしれません。
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