僕は、まっすぐこの仕事に進んできた人間ではありません。
デザインの会社をやりながら、自分たちでカフェやサロンが集まる小さな場所(tone village)も運営してきました。売上や資金繰りに悩んだこと、思いきって始めたことがうまくいかなかったことも、一度や二度ではありません。
でも、その回り道があったからこそ、商売の難しさや、経営のさみしさみたいなものが、少しは自分ごととしてわかるようになりました。表からは見えない不安や、なかなか決めきれない時間があること。それを、知っているつもりです。
だから僕らは、「自分たちでやってみて、うまくいったことしか提案しない」を約束にしています。
アプリコットデザインの仕事は、見た目をきれいに整えることだけではありません。じっくり話を聞くなかで、その会社や人のなかにある価値を見つけること。まだ言葉になっていない想いを、伝わるかたちに整えること。そして、作って終わりにせず、その先の実践や運用まで一緒に歩くこと。そこに、仕事の本質があると思っています。
これまで、価格だけで選ばれる仕事の苦しさも見てきました。だからこそ、無理に人と違うところをつくるのではなく、もともとあった価値を見つけて、磨いていくことを大切にしています。戦うためのブランドではなく、ちゃんと選ばれる理由を、時間をかけて育てていく。それが、僕らの目指していることです。
もうひとつ大事にしているのは、人を大切にすることです。クライアントも、スタッフも、関わってくれる人も、無理を重ねながら進むのでは、長くは続きません。気持ちよく働けること。安心して相談できること。一緒に考えられること。そういう土台があってはじめて、良い仕事になるのだと思います。
経営は、ときどき、とても孤独です。頭のなかにあることを、すぐに整理できるとも限りません。何から手をつければいいのか、見えなくなることもあると思います。
そんなときに、少し外から話を聞いて、一緒に整理して、次の一歩を考える。そんな相手でありたいと思っています。しなくていい失敗はできるだけ避けながら、大事なところに目を向けて進めるように。そのための時間を、ていねいにつくっていきたいです。
大きなことを言うつもりはありません。ただ、今ある価値を見つけて、言葉にして、必要な人にきちんと届ける。その小さな積み重ねが、会社や人の未来を、少しずつ変えていくと信じています。
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