UPDATE:2023.7.12
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デザイナーを育てるのはデザイナーか。
デザイナーのみなさんは「デザイナーとしての自分を育てたのは誰ですか?」 と聞かれたら誰と答えますか?
私は新卒・未経験で入ったエディトリアルデザインの会社で
ビシバシとデザインを鍛え上げられたのですが
たくさんのデザイナーの上司・先輩から色々と教わってきたはずなのに
まっさきに顔が浮かぶのは編集部のトップにいた上司です。
その上司はイラレもインデザインも使えなければ
私の作業を見ながらアドバイス、なんてことももちろん一度もありませんでした。
だけど私はひととおりアプリケーションの操作を覚えた後は
デザイナーの先輩ではなく、その編集部の上司に
いつも自分のデザインを見てもらいに行きました。
その上司の赤字(修正指示)は、いつも私に考えさせる余地を与えるものでした。
実際の色やカタチで示すのではなく、ほとんどは文字ベースでのやりとり。
「目の順番がおかしい」
と書かれれば
見出しより先に本文が目に入ってしまう配置になっているんだ!と気付かされ
「書体がうるさい」
と書かれれば
書体の登場人物が多すぎるんだ!と気付かされたり
上司の発するその一言で、
自分のデザインの何がいけなかったかを見つめ直し・考えさせられ
次からは同じようなミスはしないよう注意しようと自分の中で蓄積されていきました。
上司の赤字の数が減っていくことが自分の成長を実感できる糧となってやる気に繋がりました。
たまに書かれる「good」の文字は家宝にしたいくらい嬉しかったことを覚えています。
それはいつからか任されていた対お客さんにも適応でき、
デザインのプロではないお客さんの赤字(修正指示)が
「本来何を意味したいのか」 文字面の奥の奥まで読み取り察しようとする能力が身についていました。
なので、2番目を挙げるとすればお客さん(出版社の担当者さん)が
デザイナーとしての自分を育ててくれたと言えます。
それを見る人・使う人の好みもあるので
たったひとつの正解なんてデザインにはないけれど
見ずらい・使いずらい=機能しない間違ったデザインはある。
アプリコットデザインの主力商品「webサイト」は
世界中のたくさんの人が毎日目にし、使っているもの。
国民のほとんどがプロのユーザーです。
彼らは「なんか見ずらい」「表示速度が遅くてイライラ」など様々な理由から
離脱というカタチで日々デザインを無意識に判定してくれます。
その目線はデザイナーの先輩なんかよりももっとシビアです。
デザイナーを育てるのはデザイナーじゃない。
私はそう思います。
あの上司の赤字はもう見れないけど
上司がくれた「察する力」を活かして
見やすく使いやすいサイトをつくっていきたいです。