お問い合わせ・無料相談
ブランディング

求人票の一枚を上から下へ書き直す

WRITER
Nakamura Hiroki クリエイティブディレクター / 代表取締役
Nakamura Hiroki

クリエイティブディレクター / 代表取締役。ブランドマネージャー1級/インターナルブランディング認定コンサルタント/WEBデザイン技能士/WEBマーケティング検定/ネットショップ実務士。

求人票の一枚を上から下へ書き直す
この記事は、YouTube(音声ラジオ)でも聴けます。作業のおともに、ながらでどうぞ。

こんにちは、アプリコットデザインの中村です。今回は、いま出している求人票を一枚用意して、上から下まで書き直していく話です。人を採ろうとしている経営者の方、広報や人事で採用の文章を任されている方に向けて書いています。

求人票を作るとき、上から月給、休日、社会保険と埋めていって、下のほうに仕事の内容という欄が残ります。ここで手が止まる。まず、この欄に何を入れるかを決めるところから始めます。

辞めた理由と選んだ理由では並びが違う

まず、人が会社を辞めた理由から見ます。転職サイトのdodaが2025年版の転職理由ランキングを出していて、20代から50代の正社員978人が対象です。

  • 給与が低い 36.6%(五年連続の一位)
  • 労働時間に不満がある 26.3%
  • 個人の成果で評価されない 22.8%
  • 尊敬できる人がいない

これとは別に、厚生労働省の転職者実態調査があります。転職した人が、いまの会社を選んだ理由を、三つまで選ぶ形で聞いたものです。5,530人が答えています。

  • 仕事の内容 41.0%
  • 自分の技能や能力が活かせる 36.0%
  • 賃金以外の労働条件がよい 26.0%
  • 転勤が少ない、通勤が便利 20.8%
  • 賃金が高いから 15.1%

読むときの断りが二つ要ります。あとの調査は五年ごとに行われていて、いま公表されているのは令和二年、2020年の分です。少し前の数字として見てください。もうひとつ、この二つはそれぞれ別の調査です。引き算はできません。給料で辞めた人の数と、給料で選んだ人の数を差し引くような読み方はできず、言えるのは、並びが違う、というところまでです。

それでも、この違いは求人票の作り方を変えます。いま並べている月給と休日と福利厚生は、辞めた理由の上位二項目、給与と労働時間を受け止めています。休日と社会保険は、賃金以外の労働条件という選択肢にも重なる。空いているのは、選んだ理由の上位二項目、つまり仕事の内容と、技能が活きるかどうかの側です。

造園会社の求人票を例にする

ここからは作例です。社長と職人が六人の造園会社が、個人のお宅の庭を設計から植栽、剪定まで請けているとします。人が足りないので求人票を出していて、いまの文面はこうなっています。

造園工事スタッフ募集。月給二十三万円から。週休二日。各種社会保険完備。未経験歓迎。アットホームな職場です。

悪いところはひとつもありません。ただ、これとほとんど同じ文面が近くの三社からも出ていたら、読んだ人は月給の数字だけを見比べます。人が採れないときにまず考えるのは月給をいくら上げるかだと思いますが、その前に、まだ書いていない言葉が残っているかもしれません。

ここ三年で入った人に決め手を聞く

書き直しの材料は、社内にあります。ここ三年で入った人へ、社長からひとつ尋ねてもらいます。

ほかにも受けていた会社があった中で、うちに決めたのは何でしたか。

この造園会社では、三人の答えがこうだったとします。

  • 面接で見せてもらった庭の写真が、どれも違う庭だった
  • 一年目から自分の担当の現場を持たせてもらえる、と言われた
  • 剪定の資格を取る日は休みを使わなくていい、と聞いた

給料の話はひとつも出ていません。並べ直すと、仕事の内容、技能が活きるかどうか、働くときの条件の三つになります。どれも、さきほどの調査で上位に来ていた項目にあたります。

決め手の言葉で仕事の内容を組み直す

返ってきた言葉を、求人票の上のほうへ持っていきます。仕事の内容の欄は、こうなります。

  • 同じ庭はひとつもありません。個人のお宅の庭を、設計から剪定まで、ひとりで担当します。
  • 一年目から、自分の現場をひとつ持ちます。最初の半年は、先輩がついて回ります。
  • 剪定の資格を取る日は出勤あつかいです。受験の費用は会社が出します。

月給二十三万円から、週休二日、各種社会保険完備は、この下に残します。応募するかどうかを決めるときに要る材料だからです。順番を入れ替えただけで、消していません。

未経験歓迎は覚える順番に割る

残っているのは、未経験歓迎と、アットホームな職場です、の二つです。

未経験歓迎は、そのままだと何も伝わりません。読む人が知りたいのは、未経験で入ったら何をどの順番で覚えるのか、です。この会社なら、こう書けます。

最初の三か月は、道具の名前と、木の名前を覚えるところからです。脚立に乗るのは、四か月目からになります。

ここまで書いてあると、造園をやったことのない人でも、自分の三か月後を思い浮かべられます。未経験歓迎という五文字では、そこまで届きません。

アットホームな職場ですは場面に割る

アットホームな職場です、のほうは、選んだ理由の上のほうには出てきません。書いた側は職場の空気を伝えたつもりでも、読んだ側には何も渡っていない。近くの三社も、たぶん同じ一文を書いています。

ここは、実際に何があるのかを書きます。

朝、社長も一緒に軽トラックに道具を積みます。昼は現場で、みんなで食べます。

こう書くと、それがいいと思った人が応募してきて、昼はひとりで休みたい人は避けていきます。応募の総数は減るかもしれません。それでも、合わない人が来ないほうが、お互いに時間を使わずに済みます。

小さい会社は知名度で選ばれていない

会社の大きさについても、同じ調査に出ています。いまの会社を選んだ理由として会社の規模や知名度を挙げた人は、働いている人が五人から二十九人の会社では4.6%でした。千人以上の会社になると18.0%まで上がります。

逆になっている項目もあります。転勤が少ない、通勤が便利、を挙げた人は、二百九十九人までの会社ならどの規模でも20%台でした。千人以上の会社は14.7%なので、小さい会社のほうが上です。

小さい会社の求人票に、成長を続ける企業です、と書いても、そこで選んだ人はほとんどいませんでした。書くなら、仕事の中身と、通う距離のほうです。

歯科医院なら一文目が担当制になる

別の業種でも同じように直せます。歯科医院の作例です。歯科衛生士の募集で最初に出てくるのは、未経験・ブランク歓迎、土日休み、このあたりです。入った人に決め手を聞いたところ、ひとりの患者さんを最初から最後まで自分が見られると言われたから、という答えが返ってきたとします。

そうすると、一番上の文が変わります。

担当制です。予防のメンテナンスは、最初に会った衛生士が、最後まで見ます。

この一文のほうが、近くの医院と違って見えると思います。

手元の求人票でやってみる

ここまでを、いま出している求人票でやると、次の順番になります。

  1. ここ三年で入った人に、ひとつだけ聞く。ほかにも受けていた会社があった中で、うちに決めたのは何でしたか。三人いなければ、いる人数でかまいません。
  2. 返ってきた言葉を、言い換えずにそのまま書き出す。まとめると、仕事の内容、技能が活きる、という調査の言葉に戻ってしまいます。本人が言った通りに残します。
  3. いま出している求人票を横に置いて、その言葉がひとつでも載っているかを見る。
  4. 載っていなければ、その言葉から一文を作って、仕事の内容を書く欄の一番上に足す。
  5. 月給と休日と社会保険は消さずに、その下へ移す。

誰もが自身の価値を誇れる社会へ。うちの会社が掲げている一文です。求人票を直すために社内の言葉を集めていくと、いま働いている人の手元にも、自分の仕事を説明できる言い方がたまっていきます。外に出す紙ですが、いちばん近くで読んでいるのは社内の人です。

一文足すだけで、近くの三社とは違う求人票になります。

JOURNALが気に入ったら「いいね」してね!

Contact

ブランディング・WEB制作・運用まで、まずは一度お話を聞かせてください。 初回のご相談は無料で承っています。

お電話

0120-622835

10:00〜18:00 / 土日祝休

メールフォーム

お問い合わせはこちら