こんにちは、アプリコットデザインの中村です。今回は、広告やチラシ、LPの見出しを、見込み客から届いた問い合わせ文をもとに作り直す手順の話です。集客の文面を自分で書いている方や、広報・マーケティングを担当している方に向けて書いています。
例に使うのは、仮の学習塾です。生徒は四十人ほど、個人で運営している塾が、春の生徒募集のチラシを作ろうとしている場面から始めます。
最初の見出し案は値段で比べられる
最初に出てきた見出しの案は、この三つだったとします。
- 定期テスト対策は万全
- 合格実績多数
- 今なら入会金無料
どれも本当のことです。ただ、近くの塾のチラシを並べてみると、だいたい同じことが書いてあります。見た保護者の方は、どこも同じだな、と思って、最後は値段のところだけを見比べることになります。
強みや実績、割引を前に出す見出しは、こちらの正しさで見る人を動かそうとする書き方です。見る人は、売り込まれていると感じた時点で読むのをやめてしまいます。
表の要望と本当の困りごとを分ける
見込み客の話は、二つに分けて聞きます。
- 表の要望:最初に口にする言葉。成績を上げたい、家を建てたい、髪を切りたい
- 本当の困りごと:その下にあるもの。毎日の暮らしの中で、時間や気持ちがけずられているところ
表の要望には、どこのお店ももう答えています。だから、そこで比べられます。本当の困りごとは本人もまだ言葉にしていないことが多く、広告の見出しにはなかなか出てきません。見出しにしたいのは、こちらです。
見込み客の言葉を拾える五つの場所
困りごとの言葉は、たいてい手元にもうあります。
- 問い合わせフォームの自由記入欄
- 電話で最初に聞かれること
- 口コミの文面
- 受付でよく聞かれる質問
- 検索された言葉の一覧
検索された言葉は、とくに正直です。「塾 近く」と調べる人より、「中学 数学 ついていけない」と調べる人のほうが、困りごとをそのまま打ち込んでいます。受付でよく聞かれる質問は、受付の人に「今週一番多かった質問は何でしたか」と聞けば出てきます。
去年の春の問い合わせ三十件を読む
この塾なら、まず去年の春の問い合わせを読み返します。フォームの自由記入欄が二十件ほど、電話のメモが十件ほどあったとします。
読んでいくと、成績を上げたい、とそのまま書いてくる方は思ったより少ないはずです。代わりに、こういう文面が出てきます。
- 部活が夜七時まであって、そのあとで間に合う塾を探しています
- うちの子は、わからないところを先生に聞けない性格で
- 家で数学を見てあげていたけれど、中学の内容になって、もう私ではわかりません
文面で足りないときは三つ聞く
文面だけで足りないときは、入塾の面談や体験授業のあとに、次の三つを聞きます。
- 塾に通うようになったら、何が変わってほしいですか:やりたいことの形から、その先で何が変わるかへ話を移す質問です。「夜、宿題のことで親子でけんかしなくなってほしい」のような答えが返ってきます。
- それが気になったのは、この一か月で何回くらいありましたか:「週に三回くらい」と返ってくると、ぼんやりしていた話に数字がつきます。
- いまそれを、誰が、どうやってしのいでいますか:「夜、私が隣で教えています」という答えが出てくると、困りごとの重さが見えてきます。
塾の言葉に言い換えずに見出しにする
見出しに起こすときは、つい自分たちの言葉を使いたくなります。塾の言葉で言うと、一人ひとりに合わせた個別指導、きめ細かなフォロー。どこの塾のチラシにも載っている言葉です。
保護者の方が書いてきた言葉は、部活のあと、聞けない性格、私ではもうわからない、でした。この言葉のまま見出しにすると、こうなります。
- 部活が七時に終わってからでも、間に合います。
- わからないところを聞けない子には、先生のほうから声をかけます。
- 中学の数学を、家で教えるのがしんどくなってきた方へ。
どれを大きくするかは件数で決める
三本のうちどれを一番大きくするかは、去年の三十件の中で何回出てきたかで決めます。部活の時間の話が十件あって、ほかが四、五件なら、一番上は部活の一本です。
SNSで出すなら、三本を一本ずつ別の日に出してみるやり方もあります。反応があった言葉が、次のチラシの見出しになっていきます。
実績の数や入会金無料は、見出しの下に回して残します。見出しで自分のことだと思った人が、決めるときに読む材料になります。
届いたかは問い合わせの最初の一言で見る
見出しが困りごとを言い当てていると、問い合わせの中身が変わります。「値段はいくらですか」から始まる電話が減り、「チラシの、部活のあとでも間に合う、というのを見て」と始まる電話が増える。見出しの言葉が問い合わせ文にそのまま返ってきたら、届いています。
値段と空き状況しか聞かれないなら、問い合わせの数が増えていても、見出しはまだ強みで押す書き方のままです。数より、最初の一言を見ます。
直近の問い合わせ文でやってみる
ここまでを、ご自分の手元の問い合わせ文でやると、次のようになります。
- 直近の問い合わせ文を二十件から三十件集める。フォームの自由記入欄、メール、電話のメモのどれでもかまいません。足りなければ、口コミか、受付でよく聞かれる質問を足します。
- 読みながら、お客さんが使った言葉を言い換えずにそのまま書き出す。
- 同じ言葉や同じ場面が三回以上出てきたら、印をつける。
- いま出している広告、チラシ、LPの見出しを横に並べる。見出しの言葉が一度も出てこなかったら、その見出しは、書き手が机で考えた言葉です。
- 印のついた言葉から、見出しを一本作り直して、ひと月出す。
- 前のひと月と、問い合わせの最初の一言を比べる。
美容室でも、同じやり方が使えます。表の要望は、似合う髪型にしたい。口コミを三十件ほど読むと、前のお店で伝えたのと違う長さに切られた、という言葉が何度か出てきます。そこから見出しを作ると、「切る前に、鏡の前で長さを一緒に決めます」になります。おしゃれな髪型と書くより、切られてがっかりしたことのある人には、この一文のほうが届きます。
問い合わせの数が同じでも、一言目が変わっていれば、見出しは届いていると思います。
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