UPDATE:2017.2.9
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恐怖 オッカムの剃刀
ひさびさの投稿は、ホラー物。恐怖
オッカムの剃刀…..
キャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
人恋しくて寂しい時は、会いたい時にテレビから出てきてくれる女性なんてステキ☆
と貞子LOVEだった販促コンサルタントの私です。
私たちみたいな「商業デザイナーになりたい!」と言って、応募してきてくれる方がいます。
履歴書や面接などでみなさん「お客様のお役に立ちたい」その思いをアピールしてくれるのですが
その「お役に立ちたい!」という思いの尺度は
当然ながら、その方の中の尺度でしかありません。
「私は誰にも負けないくらいやる気がある!」という人ほど
「誰と比べて」、「一体どのくらい違うのか」なんてわかりませんよね。
数値化して見せて欲しいものです。
一度の求人募集で、このような「思いをアピールする人が重なった場合」
私は、その方たちの「仕事力」を判断するために、ある課題を出します。
※実際に6名の応募者に出したことがある課題です。
以下の架空のお店の広告を作ってください。
また、その制作に関わった時間(考え始めてから、完成するまで)を記してください。
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店名:タベルーナ
業種:イタリアンレストラン
住所:長野市内中心部
特徴:20〜30代の働く女性がメーンターゲット。
オシャレでリーズナブルなランチが主力商品。
広告:H700×200mm コアターゲットが客層とマッチする月刊の地域情報誌に掲載
4月1日にオープンするので、告知を載せたい
素材:ロゴ、店舗写真(内観、外観、スタッフ)、料理写真(5点)、自由に使って良い
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応募者は、
デザイン学校卒業生、印刷会社で制作スタッフとして2年勤務経験がある方、
独学でデザインのスキルを身につけた方、全くの異業種からの応募、経済大学新卒者など顔ぶれ多彩
一週間後に出来上がったものを提出してもらいました。
みなさん、同じ店舗なのに、全く違うお店に見えるような
多種多様なデザインがあがってきました。
応募者の中には、若干の業界経験者はいますが、
選考基準は、今の実力よりも、その人の「ポテンシャル」
これから、同じ販促業界でお客様のお役に立つために
その「素地」があるかどうか
それが、この広告づくりの中で見えてきます。
注目すべきポイントは
そのポイントは
そのポイントとは?
そ
の
ポ
イ
ン
ト
と
は
?
だいぶ、もったいぶりましたが
答えます。
そ
の
ポ
イ
ン
ト
と
は
「地図」なんです。
広告という限られたスペースの中で、
お店のPRして、売上を上げたい!
売上を上げるためには、
お店のキラーコンテンツを掲載してアピールしたい!
(この場合、リーズナブルなランチの写真や紹介文)
このスペースはできるだけ大きい方が良い。
そして、これらを食べて、お金を払ってもらうには
まず来店してもらわないといけない
それには地図を載せないといけない。
特に新規オープンだから、地図は必須
まず、この場所にあるよということを伝えたい!
極端にまとめると
地図を大きくすればお店の特徴が削られる
でも地図を削ってしまうと、そもそもお客様が来店できない
つまり、このスペースの活用の反比例を解決するために
「如何にに最小限のスペースで、如何に的確に地図を描ける」か
且つ「その広告のデザイン性を崩さないもの」にできるか
それが「お客様のお役に立てるという気持ちを測る尺度であり」
この取り組み方で見えてくるのが、「この業界でやっていけるかどうか」の素地なんです。
実際の作成例を載せるわけにはいきませんので、書き記します。
結果として以下の3つに分類されました。
(1) 平凡な地図で、オシャレな広告の雰囲気を損なってしまっている
(2) デザインに凝った地図で、全体の雰囲気には合うが、お店の場所を把握しづらい
(3) 事細かに地図が描かれているが、目印にもならないお店や施設が記載されている
(1)に関しては、ちょっとアドバイスすれば良いだけなので、そんなに問題はないのですが、
(2)の「デザイン性に凝ったもの」に関しては「デザイナー業」という言葉に囚われすぎているのか
「デザイナーという響き」に憧れているのか、自分のデザインセンスはどうだ!えへん!といわんばかりのもので
そもそもの目的=「集客」を見失っているため、問題があります。
(3)の「事細かに地図が描かれている」
この課題は過去に何人にも作ってもらったことがあるのですが
一番多かった結果がこれでした。
数が多い分、これは細分化できます。
(A) 土地勘がないから、google mapを見て作った
(B) 事実を忠実通りに作った
上記は似ているようでいて、微妙に違います。
(A)になってしまう理由としては、
—その場所に行ったことがない。その場所を知らない。これに尽きます。
東京の学生さんなんかは、土地勘がないため、「地図で見てそのままトレースしました」といった具合でした。
そのため、目印にもならない、古ぼけた営業しているのだかどうかすらもわからない小間物屋が載っていたりしました。
(B)になってしまう理由は
—同じような広告を見て、どこかの店に食べにいったことがない。車を運転しない(免許が持っていない)という「経験不足」が原因です。
細い路地までしっかりと描いたせいで複雑で、情報過多な地図になっています。
これでは、そのお店に辿り着くのが困難です。
自分で地図を見て歩く、運転してその場所に行くという経験がないのだから、人に伝えることなんてできません。
など、上記の手間をかけたどうかで、実際に出来上がる地図は全く違うものになるはずです。
そして、この手間をかけれることを「熱意」と呼び
その「やる気だけは誰にも負けません」という「やる気」を測れる尺度ではないかと思うのです。
「オッカムの剃刀」
マーケティングの世界では良く登場する言葉。
これは、伝えたいことを伝えるためには、余計な情報は極力削ぎ落とすことを
提唱していた14世紀の哲学者から名付けられた言葉です。
本当に伝えたいもの=お店に辿りつけるために必要なランドマーク、主要道路などだけを選定し
他の不要なもの(目印として必要のない店舗、細かい路地など)は極力排除する
「地図づくり」ではかかせないファクターです。
「オッカムの剃刀」と似て非なる言葉で
「ベッカムのメリーゴーラウンド」というものがあります。
これは、空前のベッカムブームに沸いた年、お台場に期間限定で設置された
ベッカムの写真がただ飾られているだけのメリーゴーラウンドでした。
こんなものに乗るために何時間も並ぶ人が絶えなかった….
そんな良き時代もありました。(遠い目)