こんにちは、アプリコットデザインの中村です。今日は、ホームページに載せている会社紹介の文章の話です。
先に言ってしまうと、会社紹介が同業とそっくりになるのは、書き方の問題ではありません。やることしか書いていないからです。そこに、自社が受けない仕事を書き足すと、他の会社には書けない文章になります。
やることは、同業ならほとんど同じになる
会社紹介には、だいたいこう書いてあります。お客様に寄り添います。丁寧に対応します。地域に根ざしています。創業から何十年。
これ、嘘ではないと思うんです。全部本当のことだと思います。ただ、同業を3社並べて読むと、どれがどの会社か区別がつかなくなります。
なぜかというと、書いてあるのが全部やることだからです。やることは、同業ならほとんど同じになります。整体院なら体を見ますし、写真館なら写真を撮ります。うちならホームページやパンフレットを作ります。ここはどこが書いても、同じような文章になります。
丁寧、親身、寄り添う、も同じです。書いていない会社を探すほうが難しいと思います。
違いが出るのは、受けない仕事のほう
では何を書けば違いが出るのか。受けない仕事を書くことだと思っています。
受けない仕事は、会社ごとに必ず違います。しかも、たいていの会社はもうなんとなく決まっています。こういう相談は受けたくない、というのは社長の頭にちゃんとある。書いていないだけです。
整体院を例に、書いてみる
たとえば整体院さんが、ホームページに「お一人お一人に寄り添った施術を心がけています」と書いているとします。
こういうとき、僕が最初にうかがうのはこの質問です。どんな相談だと、正直しんどいですか。
たとえば、こう返ってきたとします。「1回で治してほしい、という方がいちばんつらいです」。
では、それをそのまま書きます。
1回で楽にしてほしい、というご相談はお受けしていません。
ただ、ここで止めると足りません。これはただの断り書きになってしまって、読んだ人は「感じ悪いな」で終わります。
なので、なぜか、を続けます。
体の癖は1回では戻らないので、3か月ほど通っていただく前提で組み立てています。
これでだいぶ変わりました。断りではなく、考え方の説明になっています。
もう1つ足します。では、どんな方なら合うのか。
今より少しずつ良くしていきたい、という方に向いています。
通して読むと、こうなります。
1回で楽にしてほしい、というご相談はお受けしていません。体の癖は1回では戻らないので、3か月ほど通っていただく前提で組み立てています。今より少しずつ良くしていきたい、という方に向いています。
最初の「お一人お一人に寄り添った施術を」と比べてみてください。文の長さは大して変わりません。ただ、読んだ人が考えることがまったく違うと思うんです。
最初のほうは、読んでも何も起きません。あとのほうは、自分は当てはまるかな、と考えます。合わない人は他を当たりますが、合う人は「ここだ」と思うわけです。
会社紹介は、選んでもらうためのページ
会社紹介は読ませるためのページだと思われがちですが、僕は選んでもらうためのページだと思っています。
読んだ人が、ここに頼もうか、やめておこうかを自分で決められる材料が置いてあるかどうか。やることだけが並んでいると、その材料がないんですよね。
理由を書くとき、主語を相手にしない
書くときに気をつけていることを1つ。理由を書くときに、主語を相手にしないことです。
たとえば「安さだけで選ぶ方とは合いません」。これは相手のことを言っています。読んだ人が責められているような感じになります。
同じ中身でも、「うちは金額の前に何を作るかを決めたいので、相見積もりの場には出ていません」だと、うちの都合になります。言っていることは変わっていませんが、受け取られ方はけっこう変わると思っています。
ほかの仕事でも
整体院は分かりやすい例なので、もう少し違う仕事でも挙げておきます。
写真スタジオをやっている方なら、こう書けます。「撮ったデータを全部そのままお渡しする、というご依頼はお受けしていません。どれを残すか選んで仕上げるところまでが仕事だと思っています」。
うちの会社なら、コンペに参加していないことです。作る前に選ばれてしまうと、その会社のことを何も知らないまま形だけ出すことになるので、と書いています。
そんなことを書いたら、仕事が減るのでは
ここまでで、そう思われたかもしれません。
僕の実感だと、減るのは合わない相談のほうです。もともと受けても続かなかった話が、来なくなるというだけでした。
それと、読んで納得した方が来てくださるので、最初の打ち合わせが変わりました。うちはこういう進め方です、という説明から始めなくてよくなったんですよね。
断るときも楽になりました。書いてあることをそのまま言えばいいので。書いていないと、その場で理由を考えることになって、たいていうまく言えません。それで、なんとなく受けてしまう。
受けない仕事が思いつかないとき
うちは何でもやってきたので思いつかない、という方もいると思います。
そういうときは、断った仕事ではなく、受けたけれどうまくいかなかった仕事から探すといいと思います。納品まではしたけれど、どこか噛み合わないまま終わった一件。あれがなぜ噛み合わなかったかを言葉にすると、それがそのまま受けない仕事になります。
あと、あまり並べないほうがいいと思っています。3つも4つも書くと、注意書きばかりのページになって、読んだ人が身構えてしまいます。いちばん噛み合わなかった理由が1つ書いてあれば伝わります。
書き方の手順
この半年で「これは受けなければよかったな」と思った仕事を3つ挙げてください。10分もあれば出てくると思います。
それぞれについて、なぜそう思ったかを1つずつ言葉にします。金額なのか、進め方なのか、相手なのか。3つ見ると、たいてい理由は同じところに寄っています。そこが、いま一番痛いところです。
寄ったところの理由を、さきほどの形に入れます。
- ◯◯はお受けしていません。
- なぜなら、◯◯だからです。
- ◯◯な方に向いています。
できたら、会社紹介のページで、終わりのほうに置いてみてください。最初にあると身構えられてしまうので、一通り読んだあとのほうがいいと思います。
もしよかったら、受けなければよかったなと思った仕事を思い出すところからやってみてください。1つしか出てこなくても、それはもう、他の会社には書けない一文だと思います。
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