UPDATE:2024.1.30
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「インボイス制度」の基本のこと
昨年の10月からインボイス制度が始まりました。馴染みが無い方も多いかもしれませんが、
インボイス制度とは「適格請求書等保存方式」のことで消費税の扱いに関わる制度です。
ものすごく乱暴にまとめてみると
主に経理に影響する制度ではあるのですが、
他の人には無関係、というものでもありません。
取引先を改めて選定するように言われた。
取引先に価格交渉をするように指示された。
・・・
どれもインボイス制度が関係しているのですが、
関係してくるポイントを簡単にまとめてみます。
インボイス制度のポイント
①請求書等(=インボイス)の保存が必須に
インボイス制度とは、「適格請求書等保存方式」のことで、ルールに適った「適格請求書等」をルール通りに「保存」することが定められています。
そのため会社は、モノを購入したときの請求書や領収書などの証票が
「インボイス」として適しているかを確認し適正に処理した上で保存する必要があります。(データで発行されたものはデータ保存が原則)
「インボイス」というと大層な書類をイメージしてしまうかもしれませんが
ルールに沿った内容が記載されていればインボイスと認められるので、
いつものレシートでもインボイスになり得ます。
仕入れなどで大きな額が動いたときの正式な請求書等はモチロン、
コンビニで100円だけ買い物をしたときの小さなレシートも、正しく扱うようにしたいですね。
②「インボイス」である必要性
なぜ請求書等が「インボイス」であることにこだわるかというとインボイスであるかどうかによって、会社が納税する消費税額が変わってくるからです。
たとえば
11,000円(税込、内消費税1,000円)で仕入れをした商品を
22,000円(税込、内消費税2,000円)で自社が顧客へと販売したとき。
仕入れの際にインボイスを受取っていた場合の納税する金額は、
売り上げたときの消費税から仕入れたときの消費税を差し引くことができ
2,000 - 1,000 = 1,000円
となります。
もしインボイスを受け取っていなかったら、仕入れ時の消費税を引くことができずに
納税額は売上時の消費税そのまま、2,000円を納めることになります。(=仕入れの消費税が2重にかかっています)
③インボイスを発行できるのは「適格請求書等発行事業者」≒「課税事業者」のみ
先ほどの例を見ると、インボイスを受け取っていないと損になってしまうため
仕入れをするときはぜひともインボイスを受取りたいですよね。
ただし、インボイスを発行できるのは「適格請求書等発行事業者」=「課税事業者」のみに限定されています。
「免税事業者」では、インボイスを発行することができません。
消費税の流れを簡単にまとめています。
仕入れ先がインボイスを発行できる課税事業者か発行できない免税事業者かで、自社の納税負担額に差が出てきます。
仕入れ先は課税事業者を優先するようにしよう。
免税事業者と取引するときは消費税分を値引してもらおう。
現在の仕入れ先が免税事業者の場合は課税事業者になってもらうか、新たな課税事業者の取引先を探そう。
・・・
現在お取引のある先様がインボイスを発行できる適格事業者なのか、価格交渉の余地があるのかなどを見直す必要性が出てくるかもしれないのです。
インボイス制度が始まったことで、経費処理や取引先の選定やお付き合いなど
それ以前に比べて煩雑になった部分も多いかもしれません。
制度の意図を知ることで、納得感をもって対応できたり、イレギュラーな事態にも対策が立てやすくなったりするのかなと思っています。
なんとなくでもインボイス制度の輪郭がつかめるきっかけになれば嬉しいです◎
消費税を2重に負担することになってしまう。