UPDATE:2016.11.23
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こんな実験をしてみましたの巻
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ポポポポポポン
今回も「クーポン」のお話です。そして、ちょっと長いですので覚悟してくださいね。
さらに最後にちょっとしたクイズがありますのでお楽しみに。ポポポン。
「クーポンの設定をするためにこんな実験をしてみました」の巻
外食産業A
座席数50席
平均客単価 1,200円
顧客の平均来店頻度 2週間に1回
スタッフの方から「クーポン広告を使って集客しよう!」
「このクーポンを持ってきたらあるメニューを半額で提供しよう」という案が出たので、とある実験をしてみました。
ホールスタッフ、厨房スタッフ、お店のオーナー
この3人に質問してみました。
では、「クーポン使って値引く、そのメニュー」を何にしますか?
厨房スタッフ「お店で一番◎◎◎◎◎なメニュー」
オーナー「お店で一番□□□□□□なメニュー」
これを他の飲食店でも試してみると、ほぼ似た様な答えが出てきます。
みなさんなら、何て答えますか?
どの答えが正しいのかなんて、正直、結果が出るまでわかりません。
そして、クーポンの場合、売上だけが「結果」とは言えません。
今回の場合のそれぞれの回答です。
厨房スタッフ「お店で一番、作るのが楽なメニュー」
オーナー「お店で一番、利益率が高いメニュー」
ふむふむ。まあ確かに強い来店誘引になりますね。
ふむふむ。オペレーション効率を優先し、お客様を待たせないという料理人気質ですね。
ふむふむ。常に数字を意識しているオーナーらしい意見ですね。
これについて、それぞれに対する効果的なアドバイスをしていきました。
ホールスタッフの「お店で一番人気のあるメニュー」について
これは、一見、効果的に思われるかもしれませんが、あまり良いアイデアとは言えません。「お店の人気メニュー」=「お客様がその正当な対価を払って、支持いただいているメニュー」ということになります。
これって、値引く必要があるのでしょうか?
値引きすることにより、来店が増えるという期待はあるかもしれませんが、そもそも、「この値引き効果の価値を見出せる人」というのは、「この味を知っている=いつも注文している顧客」ということになります。故に、本来、値引く必要のない顧客に対してサービスをしてしまうということになります。これにより、来店頻度が劇的に上がれば別ですが、2週間に1回の来店頻度のものが、クーポンを発行したことにより3回にあがったところで、かけたコストに見合う売上を確保することはできません。また、人間はそんなに同じメニューを何度も食べたりするものではありません。
2週間に1回の来店頻度の顧客がクーポンを使って1回来店して、お得に食事できたからといって、じゃあ、今月はもう1回、余計に行こうか!とはなりませんよね。きっと、他の店の他の味に行くでしょう。
クーポンを使って特定商品を値引くのであれば
人気ナンバーNO.1メニューとはジャンルの異なるメニューにするのがオススメです。
例えば、大衆食堂でラーメンが人気NO.1だとすれば
やきそばを半額にするクーポンを発行します。
やきそばが半額で食べられると来店した人はやきそばを注文します。
来店客の中には、普段、ラーメンを食べに来ている人もいるとしたら
クーポンがあるが故に来店誘引となり、他のメニューを注文するというチャンスも設けられます。
(仮にやきそばが気に入ってもらえれば、その客のお気に入りが増えることになります。お気に入りが増えれば、来店頻度は必然的に上がります。)
また、複数名で来店の場合は、誰かがやきそばを頼めば、他の人がラーメンを頼むという心理が生まれます。(特に人気NO.1がラーメンであればなおさら)。クーポンを来店誘引フックとして、正規価格の売上も立ちます。(これがもし、人気NO.1メニューで設定してしまうと、みなが人気NO.1メニューに集中してしまい、他のメニューを注文する確率はグンと下がりますので値引き損になります。)
では、次に
厨房スタッフの「お店で一番、作るのが楽なメニュー」
これは、条件さえ満たせば、ホールスタッフ案よりは効果的です。常にお客様が訪れ、常に満席、回転率重視の経営スタイルの場合に効果的です。お店で一番作るのが楽(低オペレーション)のものに、オーダーを集中させることで、生産性が上がりますので、回転率もあげられる可能性が生じます。また、オーダーが集中することを踏まえ、原材料を大量仕入れし、コストの削減を図れますし、またお客が着席からオーダーまでの時間も削減できる可能性があります。「えー?そんな微々たる金額や時間を削減してどうなるの?」と思われるかもしれませんが、ファストフードの例がわかりやすいです。○○をひとつ、□□を二つとレジで注文していくよりも、クーポン見せるなり、クーポンの番号を言うなりして注文することで、レジでの滞在時間が減ります。24時間営業+多店舗展開ですと、こういった戦略が目に見えて効果が出てきます。今回の場合は、50席規模の飲食店ですので、このようなファストフードのようにはいきませんが、オーダーを集中させることでのメリットは効果的ですよ。飲食業とは切っても切り離せないFL値(原材料費+人件費)これを抑えることにつながりますので、必然的に、利益は上がります。
では最後に、
オーナーの「お店で一番、利益率が高いメニュー」について
これは経営者の考えからすると、できるだけ、利益を残したいものですので、当然の考えかと思います。しかし、今回は、あくまでクーポンを利用して、結果を出すということですので、中途半端な集客で中途半端な利益しか生まなかったとしたら、失敗ではないかもしれませんが、成功とも言い難いものになってしまいます。クーポンを使って値引くメニューがトリガーとなって、別のメニューを注文させてしまうというような手法であれば、オーナーの懸念も払拭できます。
例えば、利益率の高い中から、こってりしたメニューを選定する。わかりやすい例でカルボナーラにしてみましょう。強めの塩分とチーズのこってりさで、食後には、口直しがしたくなるものです。そこで、ドリンクやさっぱりしたシャーベットなどのPOPが店内に飾られていたらどうでしょう。いつもよりはオーダーが上がるはずです。また、いつもよりも、安くカルボナーラが食べれたので、普段追加オーダーしない層のお財布も緩んでしまうものです。特にドリンク類はFL値も低いですので、効果的ですね。
このように、クーポンという手法ひとつとっても、戦略は無数にあります。そして、本質を捉えて考ええていくと(私の場合はここに数字の試算も加えます)、実に効果的な販促手段がとれますよ。気になる方、具体的にうちの店をケースに考えて欲しいというご依頼にも、私販促コンサルタントがもちろんお応えしますよ!
まだまだまだまだクーポンに対しのお話は尽きませんが、
体力も尽きたので、今日はこの辺で
次回は