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ブランディング

会社のタグラインは新しく作らない

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Nakamura Hiroki クリエイティブディレクター / 代表取締役
Nakamura Hiroki

クリエイティブディレクター / 代表取締役。ブランドマネージャー1級/インターナルブランディング認定コンサルタント/WEBデザイン技能士/WEBマーケティング検定/ネットショップ実務士。

会社のタグラインは新しく作らない
この記事は、YouTube(音声ラジオ)でも聴けます。作業のおともに、ながらでどうぞ。

こんにちは、アプリコットデザインの中村です。今日は、会社のタグラインをどうやって決めていくかを書きます。

タグラインは、会社やブランドが何のためにあるのかを、短い一言にしたものです。たとえば、サントリーの「水と生きる」、ニトリの「お、ねだん以上。」、タワーレコードの「NO MUSIC, NO LIFE.」。どれも商品の説明をしていません。その会社が何を大事にしているかを、短いまま言い切っています。

自社でも作りたい、というご相談をいただきます。そのとき多いのが、会議室に集まって、いまは社内のどこにも無い言葉を探し始める形です。案はいくつも出るのに、どれもしっくりこないまま日が暮れます。探す場所を、外から社内へ移すと動き始めます。

他社と違うところはもう社内にある

他社と違うところは、たいていもう社内にあります。ただ、長く続けていることほど当たり前になって、価値として見えなくなります。得意なことほど、これくらいどこでもやっているだろう、と思ってしまう。だから、御社の強みは何ですかと伺っても、すぐには出てきません。

周りと比べ始めると、さらに見えにくくなります。もっと大きな会社がある。もっと実績のある会社がある。そう考えているうちに、いま社内にあるものが薄く見えてきます。

材料を集める五つの手がかり

タグラインの案を出す前に、材料を集めます。社内から集めるときの手がかりは、この五つがいいと思います。

  1. ずっと続けてきたこと:誰も指示していないのに、何年も続いている仕事のやりかたがあります。
  2. 当たり前にできていること:新しく入った人が驚くのに、長くいる人は驚きません。
  3. 無意識に大切にしていること:忙しい月でも省いていない手順。ここに会社の性格が出ると思っています。
  4. お客様からよく褒められること:打ち合わせや納品のときに、実際に言われた言葉を思い出します。
  5. なぜか自分たちだけが気になること:同業者は気にしていないのに、自分たちの会社では毎回出てきます。

どれも、もう起きたことを思い出す質問です。

集め方も先に決めておきたいところです。役員だけで話すと会社の看板に寄りやすいので、全員に配るのがいいと思います。紙に五つの欄を作って、二十分で各欄にひとつずつ書いてもらう。書けない欄があっても、そのまま出してもらいます。

造園会社で集めてみる

ここからは作例です。社員八名の造園会社があるとします。集まった紙を並べたら、こんな言葉が出てきたとします。

  • ずっと続けてきたこと:引き渡しのあと、一年目の春と秋に、頼まれなくても庭を見に行っている。
  • 当たり前にできていること:図面を書く前に、朝どの窓から庭を見るかを施主さんに聞いている。
  • 無意識に大切にしていること:提案のときに木を減らす。十年で混み合うのが分かっているから。
  • お客様からよく褒められること:「ここの庭は、手がかからない」。
  • なぜか自分たちだけが気になること:工事中、近所の方が通る道に泥を残していないか。

並べてみると、同じほうを向いた言葉が混ざっています。一年目の点検。十年を見て木を減らす。手がかからない。この会社が見ているのは、引き渡した日の写真より、そのあとの十年だと思います。

ここまで来ると、候補が出てきます。「十年後に、いい庭。」。この一言は、引き渡しの日を一番きれいに見せる会社には書けません。

その言葉で社員が自分の仕事を説明できるか

案が出たら、決める前に確かめます。書いた一言を社員に見せて、今日やった仕事をこの言葉で説明してください、と聞いてみる。

さっきの造園会社なら、剪定に出ている人が「十年後に枝が当たらないように、今日は上を落としました」と言えます。事務の人なら「一年目の点検の案内を出しました」と言える。全員が自分の持ち場で使えるなら、その言葉は社内に根があります。

逆に社長しか説明できない言葉は、まだ会社の言葉になっていません。もう一度、集めた紙に戻ります。

決めたあと、どこで使うか

決まったら、使う場所まで先に決めます。どこで使うかが決まっていると、言葉は生きたまま残ると思います。

  • 会社案内と、ホームページの一番上に置きます。
  • 採用ページの最初の一文にも入れます。何を大事にしている会社かが、応募の前に伝わると思います。
  • 見積の説明にも使えます。なぜこの工程が入っているのかを、この言葉から話します。

手元で始めるなら

  1. 五つの手がかりを書いた紙を用意して、全員に配る。二十分で、各欄にひとつずつ書いてもらう。
  2. 集めた紙を欄ごとに並べ、二人以上が書いたものに印をつける。
  3. 印のついたものだけを見て、同じほうを向いているものを四つか五つ残す。
  4. 残った言葉から一言を作り、社員に見せて、自分の今日の仕事を説明してもらう。

新しい言葉を探していた時間を、いま社内にあることを書き出す時間に替える。タグラインは、そのあとで決まります。

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